正捕手は俺だ! ソフトバンク甲斐拓也捕手(31)が24年1号の代打逆転3ランを放ち、小久保ホークスのオープン戦白星発進を導いた。

DeNA戦(北九州)に1点を追う5回から出場。昨オフにホークス戦力外で移籍した森唯斗投手(32)の失投を逃さず左翼席に運んだ。今季は正妻の座が確約されておらず、谷川原、海野らとのバトルが激化中。課題の打撃を進化させ、7年連続開幕スタメンに突き進む。

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昨年まで10年間チームメートだった右腕を打ち砕いた。2-3の甲斐が代打で打席に立った。マウンドには何度もバッテリーを組み、日本一の瞬間も喜びを分かち合った森唯がいた。2球で追い込まれての3球目。真ん中にきたカーブを逃さず仕留めた。左翼席に飛び込む逆転決勝の24年1号3ランとなった。「たくさん2人で苦労してきた。僕のいいものを森さんに見せることができた」。長年ホークスを支えてきた1学年上の先輩右腕に、恩返しのフルスイングで応えた。

打たなければならない理由があった。プロ14年目。7年連続100試合以上に出場するなど球界を代表する捕手に成長したが、今季は正妻を確約されていない。内外野を守れる谷川原が捕手一本で存在感を出し、パンチ力のある海野らもアピール中。一から定位置を争う立場にいる。若手の突き上げをひしひし感じ「しっかりアピールして、結果を残さないといけない」と危機感たっぷりだ。

課題の打撃で成長を示している。宮崎キャンプでは対外2試合でともに安打をマーク。28日の西武戦では2打席連続で逆方向へのタイムリーを放った。キャンプからの実戦は、11打数5安打5打点の大活躍だ。

絶好調の要因は1月の自主トレにある。NPB選手の指導経験が豊富な動作解析の専門家、島田貫任氏(27)を招いた。2人で打撃フォームを試行錯誤。股関節の使い方などを見直した。「いい感じできています。継続してできているとは思うので、変わらずにやっていきたい」と新フォームに手応えを実感。小久保監督も「今日みたいな打撃を1年してたら、2割6、7分くらい打てると思う」と目を細めた。

得意の北九州でもあった。同球場での公式戦は、出場10試合で28打数12安打で打率4割2分9厘、4本塁打、12打点をマーク。直近4年間はシーズン打率2割台前半だが、北九州では変身する。「分からないけど好きなんじゃないですか」。そう言って笑ったが、現在の状態の良さなら、北九州以外でも十分期待が持てる。「自分のやるべきことをやって、1年間戦う準備をしていきたい」。正捕手の座は譲らない。【佐藤究】

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