日本の4番は譲れない。侍ジャパンの村上宗隆内野手(24)が5日、主砲への熱い思いを語った。チームは「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024」(6、7日=京セラドーム大阪)の欧州代表との強化試合に向けて、大阪市内で調整。村上がWBCで味わった悔しさを胸に、侍の4番を守り抜く。

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宿題を終わらせる日は近づいている。雨の大阪。室内練習場で行われた全体練習後だった。「侍ジャパンの4番」について話題が上がると、村上は力強く言葉を発した。「もちろん打ちたいという気持ちは入団したときからありましたし、WBCで最初は4番を打たせていただきましたけど、最終的にはそれをやり続けられなかったので、11月のプレミアの試合もありますし、そこにまた選ばれるように努力して、そこでまた4番を打てればいいなと思います」。いつも、いつも、4番は譲れない。

ほろ苦い記憶をたどった。昨年のWBC。1次ラウンド4試合で4番を任されながら、14打数2安打で打率1割4分3厘、0本塁打、2打点。WBC5試合目で主砲の座を外れ、5番に移った。チームは有終の美を飾ったが、最後まで定位置に自分の姿はなかった。当時の侍ジャパン栗山監督はのちに「宿題があった方が人間、前に進めるからね」と、あえて戻さなかったことを明かしていた。今回、井端監督は4番として指名。4番とは-。村上は昨年から答えを求め続けてきた。「次そういう機会があれば、その役割を全うできればと思っています」。替えが効かない男を体現する。

WBCで日本の4番に座った際、前を打っていたのが大谷だった。世界の舞台で二刀流を成功させた先輩は、まぎれもなく世界一への原動力、中心人物だった。今回の侍ジャパンは、若手が多く、大学生も4選手が入った。日本の4番である以上、村上に大谷のような求心力が期待されるが「僕自身そんなに感じていないですし、もっともっと上の選手もたくさんいますし、1人がこうじゃなく、チーム一丸としていいチームがつくれればなと思います」。あくまで自然体。その先に、向き合ってきた宿題の答えがあると信じて-。

2月のキャンプ中盤には左臀部(でんぶ)の張りで別メニュー調整もあったが「大丈夫です」と胸を張った。状態次第では参加見送りもあった中での志願の侍入り。「もう出ると決めた以上は出たいと思っていましたし、いろんな方に迷惑がかかるので、自分の体のコンディションが大丈夫なら出ようと思っていましたし、そんなにひどくないので、はい、出る方向でという感じです」。気持ちが違う。簡単な宿題ではないから、時間はかかる。ドンと構え、答えを打席で提出する。【栗田尚樹】

 

◇侍ジャパン予想スタメン

1番中堅 塩見

2番遊撃 源田

3番DH 近藤

4番三塁 村上

5番右翼 森下

6番左翼 田村

7番一塁 石川

8番捕手 坂倉

9番二塁 中野

先発投手平良