あぁ~。4万超の観客がため息だ。

阪神が開幕前最後の甲子園で宿敵巨人に敗れ、オープン戦開幕から9戦9敗となった。9連敗は記録が残る65年以降で球団ワースト。甲子園のオープン戦全敗は07年の2戦2敗以来17年ぶりだ。岡田彰布監督(66)は「別にそんな…」と勝敗を気にするそぶりは見せなかったが、先頭打者に四球を与える投手の姿や、長所を引き出しきれない捕手のリードにイライラを募らせた。

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オープン戦では虎史上最多となる4万1129人の大観衆。シーズンさながらの盛り上がりの中で、1点差に詰め寄りながら9連敗。宿敵に敗れた。また勝てない。岡田監督の表情は明らかに曇っていた。いつもなら感謝を口にする大入りのファンについても「営業の話やん。俺らになんにも返ってけえへん」と素っ気ない。オープン戦で勝てないチームに話が及ぶと「別にそんな…」と笑うしかなかった。

試合内容にフラストレーションがたまっていた。7回表、マウンドに上がったのはドラ6ルーキーの津田。我慢できなかったのは、捕手長坂のリードだった。

「ええ球がカーブやのに、なんでカーブ投げへんねやろって。最後なんかベンチから言うたんやで『カーブ投げ』言うて。分かるやろと思うけどな。ピッチャーつぶしたらアカンよ、ほんまに」

4人目の泉口の初球に、この日初めて投じたカーブが高めに浮いてボール。そこから直球を連打されて1点を失うと、指揮官は気持ちを抑えられなかった。続く湯浅にはカーブ4球を投げさせ三ゴロ。「言うまで1球しか投げへんやん」。女房役の物足りなさに、言わずにはいられなかった。

1点ビハインドの8回には、この回から登板した浜地が先頭にストレートの四球。前日9日のヤクルト戦で投手陣が計9四死球を出していただけに、再び不満が募った。「先頭にフォアボールとかな、昨日も言うてるやんか。だからその通りよ。ブルペンの投球とその通りやって」。さらに2死一塁から三塁手の佐藤輝に悪送球が出て、リードを広げられる展開。「そら送球ミスやんか。それだけやん」と論ずるに値せずだ。

ため息の黒星となったが、主力野手を最後まで出場させたのはせめてものファンサービス。「1カ月甲子園帰ってけえへんからな。クリーンアップだけは最後残しとこうとな。お客さん用にな」。スカッとした快勝も、甲子園の歓声も、シーズン開幕後にとっておく。【磯綾乃】

▼阪神がオープン戦開幕9連敗。開幕から9連敗は球団ワーストを更新中。球界でも記録の残る65年以降では85年中日13連敗、同年近鉄11連敗に次ぐワースト3位。

▼阪神のオープン戦9連敗は「開幕から」を除いても球団ワースト。8連敗時点で09年に並び球団ワーストタイだったが、この日敗れて単独で最長となった。

▼オープン戦9試合を消化して0勝9敗。阪神は現日程でオープン戦は残り10試合。次戦に敗れれば勝利数が敗戦数を上回る可能性がなくなるため、オープン戦負け越しにリーチがかかる状況となった。