甚大な被害をもたらした東日本大震災から13年-。エースとして被災地を勇気づけてきた楽天田中将大投手(35)は11日、遠征先の静岡県内でチームメートらと黙とうをささげ、再び日本一になることを誓った。

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大型ビジョンに映し出された「がんばろう東北」の文字を背に、田中将が丁寧に言葉をつむいだ。「何年たっても変わらないですね。3・11という日を迎えるにあたって、あの時を思い出しますし、練習開始のタイミングでみんなで黙とうしましたけど、追悼の意を持って今日を迎えました」。震災当時はプロ5年目の22歳。19勝5敗、防御率1・27の成績を残し、被災地を勇気づけた。

13年前に在籍した選手は自身と辛島のみになった。だからこそ、チーム内で震災を風化させたくはない。「下の代にどういうことがあったとか、こういう思いを持ってやっているんだというのを、つないでいかないといけない。そういうのが僕自身は大事かなと思います」。後世に経験を伝える役割を担う。

震災から2年後に、球団史上初の日本一を達成した。中心には田中将がいた。24勝0敗、1セーブ、防御率1・27と圧倒的な成績でチームを引っ張った。仙台市内で行われた優勝パレードで撮影した動画は、今も携帯に残っているという。「ああいう報告を皆さんの前でまたしたいなって思っているので、しっかり頑張ります」と力を込めた。

日本一を置き土産にヤンキースへ移籍し、14年からメジャーで7年プレーした。楽天復帰後の21年以降は通算20勝32敗と黒星が先行。チームも優勝から遠ざかる。「僕自身もそうですし、なかなかいいニュースを届けることができていません。今シーズンは1つでも多く勝って、いい姿をたくさんの方々に届けられるようにという思いはあります」。右肘手術明けの今季。完全復活で東北に2度目の歓喜をもたらす。【山田愛斗】

▽楽天今江監督(被災地球団としての使命について)「我々イーグルスは震災を乗り越えて日本一になったり、たくさんの方々に支えられて、今、イーグルスがあります。勇気や元気を与えられる立場でもありますし、東北のチームとして、しっかりと使命感をグラウンド上で表現していかないといけないと思います」

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