元阪神監督で85年日本一メンバーの真弓明信氏(70=日刊スポーツ評論家)が24年のセ・リーグ展望を語った。優勝の本命としたのは岡田阪神。連覇のカギとして、「岡田監督の手腕」と「4番大山」を挙げた。

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戦力を比較すれば、今年も阪神の優位は変わらない。ただオープン戦でこれだけ負けが込んだというのは、いい状態とは言えないだろう。心配なのは、先発投手が点を取られていたことだ。チームの特長でいえば、投手を中心にした点をやらない守りの野球で、勝ちにつなげてきた。昨年は防御率トップの村上、貯金を「10」も作った大竹が引っ張った。言い方は悪いが、あれ以上は望めない。試合中盤まで1、2失点だったのが、今年は3、4点取られる展開もあるかもしれない。去年とは違う心構え、腹づもりをして、シーズンに臨む必要がある。

キャンプから見て、リリーフ陣は心配していない。岡留ら若手が出てきているし、誰を使っても、いい成績を残す雰囲気はある。先発次第では中継ぎに負担がかかるが、どれだけ先を見据えて、我慢しながら、選手をやりくりできるか。昨年よりも今年のほうが岡田監督の手腕にかかっている。

先発陣が心配という意味では、打線に上積みが求められる。オープン戦は打線全体ではそれほど打っていないかもしれないが、バッターはあまり参考にならない。春季キャンプからの流れで、試していることもあっただろうし、それが成績には表れない。シーズンに入れば、求めるのは結果だけだから、変わってくる。そこはあまり心配していない。

打線のキーマンといえば、ここ数年は佐藤輝の名前が挙がったが、今年に関して言えば、それほど成績が落ち込むことはないだろう。調整は順調で、ホームランは増え、打率は上がってくるはずだ。

私は、キーマンに大山を挙げたい。昨年は好不調の波を抑えながら、4番の役割を果たし、好成績を残した。ただ4番に座り続けるのは、精神的にも非常に難しい作業だ。打者は1カ月で打率を4割近く打つ時もあれば、2割そこそこの時もある。自分の打撃を崩さずに今年も耐えられるかどうか。それを乗り越えれば、4番大山が完全に確立される。それだけ重要な1年になる。

シーズン前半は昨年のようにうまく進まないだろう。大きく負け越したオープン戦の後で、開幕した途端に、いきなり連勝でいいスタートが切れるというほど簡単なものではない。うまくいかなかったポイントを修正しながら、8月に入った頃に、ベストオーダー、先発ローテーションを組むぐらい我慢しながら戦っていくことを想定するべきだ。

優勝争いの本命は阪神だが、対抗は巨人。監督も代わり、90周年の節目の年。力を入れて獲得した外国人がどれだけできるか。投手力が課題だったが、キャッチャー出身の阿部監督だから、うまく継投できるはず。中日はもともと投手力がいい。しっかりと守って、中田翔ら強化した打線が機能すれば、去年のようなことはない。ヤクルトは村上が打てば、チーム状態は上がってくるだろうが、DeNA、広島を含め、これといった強みは感じられない。