DeNA佐野恵太外野手(29)が全身で食らいついた。1点を追う5回1死満塁、巨人井上に2球で追い込まれるも慌てない。6球目の外角スライダーを上からたたいた。右翼・丸がダイビングキャッチを試みるも、わずかにグラブをはじいて地面に転がる。「追い込まれていたのでなんとか食らいつきました」と気持ちがバットに乗り移った。

自らの一振りでもやもやを吹き飛ばした。開幕から7試合はいい当たりが正面を突いたり、好プレーに阻まれたりと安打から離れ、打率は1割1分5厘だった。1番度会、2番オースティンの後に続き、牧、宮崎が後ろに控えるそうそうたる打線の3番として全試合に先発も、流れに乗りきれなかった。

焦る気持ちをほぐしてくれたのは、熱男師匠からの熱い言葉だった。前日の同戦で自主トレをともにする松田宣浩氏(40)がラジオ解説で来場。試合前にはフリー打撃も見てもらい、「まだまだ130試合以上ある。しっかり自分のバッティングができるように」と背中を押された。「すごく大きい言葉でした」と自らを奮い立たせた。

熱男魂で食らいついた。2打席目の4回1死一塁、追い込まれながらも長野のグラブをはじく左前への安打。16打席ぶりの安打を皮切りに今季初の猛打賞で、球団史上最長タイの開幕から3カード連続勝ち越しに貢献した。「もっと状態を上げて、打線をつなげられるようにしたい」と佐野。強力打線のど真ん中で自らの役割を全うする。【小早川宗一郎】

▼DeNA三浦監督(佐野について)「これで気持ちだいぶ楽になる。佐野にとって非常に大きな1日になったと思います」