満開近し! たび重なる手術からの復活を目指す阪神高橋遥人投手(28)が883日ぶりに打者と対戦した。7日、鳴尾浜での2軍練習で井上、高浜を相手に対戦形式で登板した。

春の陽気の鳴尾浜に突然、高橋の大きな声が響いた。「あ~、もうイヤだ~! 打たれすぎ!」。顔は笑っていた。周囲からも笑いが漏れた。カットボールを井上に完璧に左翼越え本塁打されたあとのワンシーン。「打たれたことも悔しいし、投げ切れていないのも悔しいし」。

こんな心の動きも久しぶり。ブルペンとはまるで違う6打席、28球の真剣勝負。「ドキドキです。昨日から緊張していました。アドレナリンもちょっと出ました。楽しかった」。安打性は4本。最速147キロをマークした自慢の直球は1度も快打させなかった。

打者との対戦は21年11月のCS巨人戦が最後。その後、トミー・ジョン手術を含めて肘、肩など計4回メスが入った。昨秋にブルペン投球を再開し、2月中の実戦も見据える状態だった。沖縄の寒さや球団の慎重な方針で持ち越されたが、回復が大きく遅れていたわけではない。

体の状態、フォームの仕上がりはあと1歩のところ。前半戦中にも1軍復帰の可能性も十分あるが、今後の計画は「分からない。トレーナーと相談して」と変わらず慎重だ。「めちゃくちゃ打たれたけど、そんなに感じも悪くない。もっと上がっていく。自分で、現状これぐらい投げられるんだって思えました。球速も球質もよくなると思います」。いよいよ最終段階に入っていく。【柏原誠】

<高橋遥人のこれまで>

▼初勝利 17年ドラフト2位で亜大から入団。18年4月11日の広島戦で初登板し7回無失点で勝利。その後、左肩の不調で6月半ばから2軍調整が続き、1年目は6試合で2勝3敗、防御率3・63。

▼1軍定着 19年は5月に1軍昇格して19試合に先発。109回2/3で3勝9敗、防御率3・78。

▼肩痛 20年は左肩痛で2軍スタート。8月に復帰。同年は12試合登板ながら自己最多の5勝(4敗)で防御率2・49。

▼脇腹故障 21年は2月に右脇腹の筋挫傷で離脱。9月に復帰し7試合で4勝2敗、防御率1・65と快投を連発。CSでも先発。

▼最初の手術 21年11月に左肘クリーニング手術。状態が上がらず、翌22年4月にトミー・ジョン手術を受けた。復帰を目指していた23年は6月に「左尺骨短縮術」および「左肩関節鏡視下クリーニング術」を受けた。2年連続で実戦登板はなかった。

▼復活へ 23年11月に術後初めて捕手を座らせて本格投球。今年1月には143キロを計測。2軍キャンプでも順調にブルペンを重ねた。最多は86球。3月は少しペースを落としたが、4月2日には中1日と短い間隔でブルペン投球。