観客が皆、息をのんでいた。3-2の6回、2死満塁で巡ってきた阪神佐藤輝明内野手(26)の打席。ファンが望むのはもちろん豪快なグラウンドスラムだ。
初球をいきなり強振。高々と舞いあがる飛球に耳をつんざくような歓声が上がった。大きく切れて、一塁側アルプススタンドの上段まで飛んでいったが、この日一番の盛り上がりとなった。
元阪神のカイル・ケラー投手(32)はそれでも直球を続けた。6球すべてが150キロ台の直球で、追い込んでからは高めのボールゾーンに意図的に投げ込んだ。佐藤輝はハーフスイング、ファウルを繰り返した。そのたびに静寂と歓声、ため息が球場全体を包んだ。
最後は高めの直球を思い切りスイングして空振り三振だったが、息詰まる力と力の勝負に、大きな拍手も送られた。



