猛牛が天を見つめた。「今日は大剛さんに届けようという気持ちでやってみました。大剛さんの思いもしっかり刻んで、『ワールドタッグリーグ』もやっていきたいですね」。天山広吉(46)にとっては、弔いの一夜になった。

 4日にカナダでなくなった大剛鉄之助さん(享年75歳)は93年からの海外修行時代に教えを受け、名付け親にもなった恩師。この日、中西学と組んだタッグ戦でダイナソー・拓真・吉野コータロー組を11分55秒で撃破したアナコンダバイスも伝授してくれた。なにより、そのフィニッシュにつなぐ久々の大技こそ、師匠の代名詞だった。「大剛さんに練習とかいろんなことを教えてもらって、その大剛さんに教えてもらった大剛式バックドロップを、ここ何年もやってなかったんですけど、今日は大剛さんに届けようという気持ちでやってみました」。久々の一発は「すごく良い感じで決まった」と会心の笑みで振り返った。

 18日からは「テンコジ」として小島聡と組んで挑む「ワールドタッグリーグ」が開幕する。「17年はあまり良い成績を残せていないからね。テンコジとして出るからには、しっかり輝けるように、2人で今年を締めたい」。小島の師匠も同じく大剛氏。ともにベテランとなり、若手も含めてライバルは多いが、優勝を手向けとする覚悟を感じさせた。