IWGPヘビー、同インターコンチネンタルのダブルタイトル戦は、ニュージャパン杯覇者で挑戦者のEVILが2冠王者の内藤哲也(38)を撃破し、両タイトルを初戴冠した。

15年からユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」で内藤と行動をともにしてきたが、前日11日に悪のユニット「バレットクラブ」に電撃加入。仲間を裏切り、一気に新日本の頂点に駆け上がった。

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有観客試合で喜びにあふれていた大阪城ホールが、一転ため息に包まれた。メインのダブルタイトル戦を制したのは“闇の王”EVIL。王者内藤の膝を攻め、パイプイスや仲間の介入など反則行為を連発。金的攻撃で弱った内藤に必殺技EVILを決め、38分の戦いを制した。内藤を踏みつけ、「このEVILが覇者で王者の3冠王だ」と会場に宣言すると、ブーイングが起こった。

裏切りで一気に頂点に立った。10年に新日本に入門し、13年から海外武者修行へ。15年10月に帰国すると内藤率いるユニットに加入し、初期メンバーとしてロスインゴブームを支えた。だが、人気と実力はあってもチャンスは訪れない。カリスマ内藤の陰に隠れ、主要シングルタイトルにはなかなか届かなかった。

そんな鬱憤(うっぷん)が爆発したのか、今年のニュージャパン杯では非道な戦い方で勝利に徹し、勝ち上がった。前日11日の決勝でプロレス界の絶対エースオカダを破り、初優勝を飾った。同時に新日本屈指のヒールユニット、バレットクラブに電撃加入。内藤を裏切り、髪形もコスチュームも入場曲も一新して、決戦に臨んでいた。

試合後も新たに仲間として呼び寄せたディック東郷とともに内藤を攻め続けていると、現IWGPジュニアヘビー級王者高橋ヒロムが内藤を助けるためリングに駆け込み、タイトル挑戦を表明。EVILはバックステージで「いつでもやってやるぜ」と不敵な笑みを浮かべ、歓迎した。ようやく興行復活した新日本は、いきなり混乱に突入した。【高場泉穂】