大相撲夏場所(来月13日初日)の新十両昇進が決まった山形・白鷹町出身の白鷹山(はくようざん、23=高田川)が、史上初の新十両全勝優勝を目標に掲げた。24日の稽古でも身長185センチ、体重165キロ、握力100キロの体を生かした、前に出る相撲は健在。郷土の大横綱柏戸の名前も挙げ、さらなる飛躍への準備は万全だ。山形県からの新十両誕生は、08年春場所の北勝国以来10年ぶりとなる。

 白鷹山は体も力も目標も発言もビッグだ。先場所も豪快な突き押しで圧倒。東幕下筆頭で6勝1敗と勝ち越し、11年5月の初土俵から約7年で新十両。初めて15日間相撲をとる夏場所で、角界を驚かすつもりだ。

 「最初から誰が相手でも全部勝つつもりで戦う。優勝を目指す思いしかありません。どんどん前に出て、吹っ飛ばして『あいつは真っ正面から行ったら止められない』とみんなに言わせたい。山形出身の横綱、柏戸関も目標ですが、白鷹山の相撲で突き進みたい」

 小学校では柔道や野球、中学ではバスケットボール部。中3時、砲丸投げで山形県新記録を樹立した運動神経と怪力で、相撲未経験ながら角界の門をたたいた。父英人さん(49)との約束は3年で三段目、5年で幕下、10年で十両。「出来なかったら本当に角界を去っていました」。

 12年には右膝の大ケガを負っても、10代で幕下上位まで駆け上がったが、16年には糖尿病も発症。入門時140キロから一時は180キロまで増えたが、わずか1カ月で135キロまで体重が減った。「正直、てんぐになっていたので、神様が鼻をへし折ってくれたんだと思う。それでも学生横綱になって1場所で(十両に)上がったと思えば遅くはないと思う」。新調した深緑色の締め込みで旋風を巻き起こすつもりだ。

 同じ二所ノ関一門の先輩力士からの“神”の声も支えだった。闘病中、連合稽古で活気のない表情に、幕内嘉風(36)からは「常に今が全盛期と思え」と激励されて目が覚めた。昨秋の巡業中には大関高安(28)から「立ち合いから突き押しを徹底しろ。オレもそれでここまで来られたんだから」と助言された。迷いは吹っ切れ、結果が出た。

 30日に番付発表。稽古では白まわし、部屋は個室になり関取生活が始まる。しこ名は地元の白鷹山(しらたかやま)と米沢藩主の名君・上杉鷹山(ようざん)から命名。「山形が好きだし、自分は肌も白いし、強そうだし、気に入っています。山形の代表として強くなります」と誓った。【鎌田直秀】

 ◆白鷹山亨将(はくようざん・りょうすけ)本名・斎藤亨将。1995年(平7)4月13日生まれ、山形・白鷹町出身。鮎貝小-白鷹西中を経て、11年5月技量審査場所初土俵。13年九州場所で初の幕下。得意は突き押し。185センチ、165キロ。家族は両親と妹2人。愛称は山形の白熊。