初日から12連勝していた関脇栃ノ心(30=春日野)が痛恨の2連敗を喫し、自力優勝が消えた。

 左上手で鶴竜のまわしを引いたが、横綱の厳しいおっつけにあって右を差せず、もろ差しを許して、すくい投げを食った。倒れ込むと、悔しさのあまり右手で土俵をたたき、顔を埋めた。取組後の土俵下でも、しばらく目をつむる場面があった。

 前日の正代戦で敗れ、土俵に右手を着いた時に小指、手首などを痛めた。この日朝は稽古場に姿を見せたものの、軽く体を動かしただけで病院に向かった。支度部屋では「(取り口は)あまり覚えてない」「(右手は)大丈夫です」と声を絞り出した。

 白鵬が逸ノ城に敗れ、優勝の可能性が残るのは自分と鶴竜だけになったが、千秋楽で勢に勝っても、鶴竜が白鵬に勝てば次点止まり。鶴竜が白鵬に敗れ、2敗で並んだ上で決定戦で勝つしかない。他人頼みの状況だが「明日が最後なんで、気合入れて思い切っていきます」と気持ちを切り替えていた。