関脇貴景勝(22=千賀ノ浦)が、大関とりへ望みをつないだ。過去の対戦成績が2勝6敗だった大関高安を押し出し、連敗を2で止めた。

今場所の昇進目安が10勝以上となる中、難敵を3発でもっていく圧勝で、星は9勝4敗。1月の初場所に続き、大関昇進目安となる「三役で3場所33勝」とした。横綱白鵬が初日から無傷の13連勝。14日目で1敗の逸ノ城が敗れ、白鵬が勝てば42度目の優勝が決まる。

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貴景勝が今場所2度目の大関戦で会心の白星を挙げた。「何も考えずいけた。気持ちを最大限高めて、それで負けたら仕方ない」。3連敗中だった高安を、3発押し込んで土俵外。場所前に行われた二所ノ関一門の連合稽古では5勝7敗だったが、本場所では大関とりの22歳に軍配が上がった。

憧れの存在も実力を認めた。貴景勝が幼少期から目標としている力士は、現役時代177センチ、140キロ未満の体格ながら史上初となる2度の平幕優勝を果たした元関脇琴錦(朝日山親方)。その速さから“F1相撲”と呼ばれた同親方も、「(貴景勝は)オレとは違って度胸が据わっている」と舌を巻く。同親方が、同じくスピードが武器だった元大関初代貴ノ花から教わった立ち合いを、当時十両だった貴景勝に伝授したこともあったが、大関を目前とした現状に「オレなんか目標にしていたらダメ」。175センチと小柄ながら、押しといなしを判断良く使い分け、まわしを取らせない取り口に「私が現役だったとしたら、どうしたらいいか思い浮かばない」と白旗を揚げた。

あと1勝を乗せて2桁白星となれば、昇進への機運はさらに高まる。14日目は1敗と好調の逸ノ城、千秋楽はかど番の大関栃ノ心との対戦が濃厚。「勝ち負けどうこうではなく、明日に向かって準備をしたい」と力を込めた。【佐藤礼征】