大相撲春場所の千秋楽で白星を2桁に乗せ、大関昇進を確実にした関脇貴景勝(22=千賀ノ浦)が千秋楽から一夜明けた25日、東大阪市内で記者会見に臨み「さらに上を目指してやっていきたい」と将来的な横綱昇進を誓った。新元号で迎える夏場所(5月12日、東京・両国国技館)は、史上8人目となる新大関優勝に挑戦する。

激動の15日間を終えたが、貴景勝は慢心と無縁だった。記者会見では「力士だったら次の番付を目指さないといけない。さらに1つ上へ日々やっていきたい」と横綱を目指す決意を語った。場所前も大関とりを宣言し、実行した。それも自ら受け入れた重圧をはね返すことで「今後の自分のいい経験になると感じていたから」。昇進目安が10勝以上となる中、千秋楽で2桁白星を達成。22歳7カ月は幕内最年少だが「いつでもチャンスは巡ってこない。何としてもモノにしたかった」と大一番を振り返った。

足元を見つめて調整してきた。1月の初場所千秋楽で右足裏を痛めたが「焦りはなかった」。場所前の稽古では「相撲を取る稽古よりキツイ」という、四股やすり足などの基礎運動を入念に行ってきた。会見に同席した師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)は「本人が一番考えてやっていたので、気持ち良く稽古ができるような雰囲気を」と、風通しのいい環境づくりに着手。貴景勝が189日ぶりに連敗した12日目の翌日には、普段言葉を交わさない朝稽古で「二言三言、声をかけました」と気遣った。昨年12月に旧貴乃花部屋から移籍した貴景勝も「千賀ノ浦部屋にやってきて、快適に相撲に打ち込めている」と感謝した。

夏場所で06年夏場所の白鵬に続く13年ぶり、1場所15日制が定着した49年夏場所以降では6人目となる新大関優勝を目指す。貴景勝は「もちろん、全部勝つつもりでいかないといけない」と、史上初となる新大関の全勝優勝へ意欲を見せた。【佐藤礼征】