白鵬1敗死守、今場所で定年の床山に「いい報告を」

<大相撲名古屋場所>◇12日目◇18日◇ドルフィンズアリーナ

横綱白鵬(34=宮城野)が、関脇御嶽海を退けて1敗をキープした。不利な体勢を強いられながら、外四つで寄り切り。入門時からまげを結ってもらい、今場所で定年退職を迎える特等床山の床蜂(64=宮城野)のためにも、43度目の優勝で花道を飾りたい。鶴竜も全勝を守り、優勝争いは両横綱による一騎打ちの様相を呈してきた。

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どんな体勢でも勝つのが横綱、と言わんばかりの相撲だった。2度目の立ち合い。踏み込んだ白鵬はあっさりともろ差しを許したが、相手優位な形なら、時間をかけて攻める。1分30秒過ぎ、外四つから御嶽海を挟み込むようにして寄り切った。「落とし穴なく、ゆっくり攻められた。外四つですから慎重に、体重も同じくらいなので」。大関候補と呼ばれる若手の筆頭に対して、しっかりと壁になった。

4大関の休場により、協会の看板力士として、より綱の責任が求められる。全勝の鶴竜を1差で追う展開。「今のところは(責任を)果たしているけど、あと4日ありますから」と、唇を一文字に結んだ。

20年近く支えてもらった存在を、華々しく送り出したい。特等床山の床蜂が、今場所限りで引退する。新十両に昇進した04年初場所以降、ほとんどの大銀杏(おおいちょう)を結ってもらった。この日の朝稽古後、白鵬は「まだ元気で定年って感じがしない。あと4日なんだな」と神妙な面持ちで話した。常にそばにいた存在だからこそ、まだ実感が湧かないが、恩を返す気持ちは強い。「今場所出られて良かった。いい報告ができればいい」。吉報はもちろん、賜杯を抱えて届けるつもりだ。【佐藤礼征】

◆特等床山 力士のまげを結い上げる床山の最高階級。勤続45年以上または、年齢60歳以上の者で特に成績優秀な者がなることができる。13歳で角界に飛び込んだ床蜂は、白鵬のまげを入門時から結う。白鵬の髪質について床蜂は「柔らかくてコシがない」と評し、床山衆も「やりにくい」と口をそろえる中で、床蜂はその髪質に対応できる技術を持つ、数少ない床山。特等床山は現役では床蜂と床松(64=春日野)、床淀(63=伊勢ケ浜)の3人で、床蜂と床松はともに今場所で定年退職を迎える。