どんな人間も勝ち続けることは難しい。日本で一世を風靡(ふうび)した総合格闘技イベント「PRIDE」。創成期の1997年~2000年にかけ、“霊長類ヒト科最強”と呼ばれた米国の格闘家マーク・ケアーの挫折と再生を描く。

97年、無敗で米総合格闘技団体UFC連覇を果たしPRIDE参戦後に帰国したケアー。ケガの痛みと敗北への恐怖から鎮痛剤にのめり込み、薬物依存へ転落する。「感情をコントロールできないと、恐怖と不安にのまれて、感情の袋だたきにあうんだ」。敵は最強の内側にいる。

製作・主演はプロレス界からハリウッドスターに上り詰めた「ワイルド・スピード」シリーズのドウェイン・ジョンソン。これまでの“完全無欠のヒーロー”像とはまったく違う、傷も弱さも隠さない繊細な演技と、圧倒的な肉体の動きに息をのんだ。リングで見せる強さの裏側にあるもろさ。その落差が痛いほど迫る再起の試合へ向け、「マイ・ウェイ」をバックに厳しい特訓に励む姿は胸を打つ。「PRIDE」パートには大沢たかお、石井慧、光浦靖子、布袋寅泰ら日本人キャストも出演。転落の道は長いが、人は立ち上がることができる。【松浦隆司】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)