演歌歌手の長山洋子(47)が19日、千葉・市原市民会館で新曲発表会を兼ねた特別コンサートを行った。市原市は、07年に演歌歌手デビュー15周年コンサートを行った思い出の地。新シングル「金毘羅一段」のカップリング曲として、同市姉崎町に昭和の戦後から伝わる「姉崎音頭」を収録するなど町おこしに一役買っている。

 長山の広い交友関係と義理堅さが、新曲発表会にとどまらない特別なコンサートを実現させた。観客2000人と地元の踊り子108人と一緒に「姉崎音頭」を陽気に歌い踊った。「皆さんの音頭を全国に、そしてもっと広げていきますね」と約束すると、大喝采を浴びた。

 姉崎は長山にとって出身の東京・蒲田に次ぐ第2の故郷。15歳から所属するバーニングプロダクション周防郁雄社長の地元に恩返しをしたいと、07年9月に同地で演歌デビュー15周年野外コンサートを催した。「8年前の縁から、姉崎の方々がずっと私を気に掛けてくださっている。今回は『町おこしのために歌って』と頼んでくださいました」。姉崎のためになるならと快諾した。

 都内でレコーディングした夜には、さらなる縁もできた。20年来の友人、マイアミ・マーリンズのイチロー外野手(41)と会食した席で、イチローの大ファンで姉崎出身のヨネスケ(67)と対面した。「洋子ちゃんが僕の故郷を盛り上げてくれるなら、ぜひ手伝わせて」と言い、イチローも楽しそうに話を聞いていたという。ヨネスケはこの日のコンサートに参加し、会場を盛り上げた。8年前の15周年コンサートにも祝いの花火を提供していたイチローも2人の“姉崎タッグ”を喜んでいるという。

 長山の夫は米国人で、故郷はフロリダ州。長山は「夏に里帰りをするので、チャンスがあればイチローさんの応援に行きたい」と話す。イチローはマリナーズ時代、打席に入る時の曲に石川さゆりのヒット曲「天城越え」を使った時期がある。演歌や日本文化を愛するイチローと「姉崎音頭」のコラボが実現する可能性まで広がる。

 先月14日にロックフェスに初出演した。「今度は和に興味のある海外アーティストと一緒に着物姿で歌いたいな」。夢は広がり続けている。【瀬津真也】