松岡茉優(22)が30日、第30回東京国際映画祭でコンペティション部門に出品された初主演映画「勝手にふるえてろ」(大九明子監督、12月23日公開)のワールドプレミアに登壇した。

 登壇早々、客席の女性から「茉優ちゃん、かわいい!!」と声を掛けられると「ありがとう!!」。一方、役のことを熱く語るあまり、込み入った表現を使ってしまい、同時通訳の女性に「訳しにくいかしら…ごめんなさい」と謝罪する場面もあった。

 同映画は芥川賞作家の綿矢りさ氏の同名小説の映画化。松岡演じる24歳のOL江藤良香が、中学時代の同級生「イチ」に10年間、片思いを続ける中、熱烈に愛してくれる同期の男性「二」の登場で“脳内片思い”と“リアル恋愛”のはざまに苦しむ物語。

 松岡は役作りについて「(製作)関係者から『笑った』と言われた。ポスターに『ラブコメ』と書いてあるけど私は、そう思って撮っていない。私たちは渦中の人ですけど(映画から)離れると笑えるらしい。生きていて一生懸命な人って、おかしかったりするじゃないですか」と話した。その上で「(喜んでもらって)結果的にラッキーですけど、演じている上で、1人で感情を上げたり、下げたり、固めたりするのが楽しかったけれど、かじ切り、運転が難しかった。一生懸命戦った」と振り返った。

 イチを演じたダンスロックバンドDISH//の北村匠海(19)は「きっと普段、言えない言葉だったり、ある負の感情を、僕は役として前面に押し出した。松岡茉優というすてきな人にのみ込まれて欲しい」。

 良香の親友、月島来留美を演じた石橋杏奈(25)は「茉優ちゃんが、かわいくて、女性が共感できるポイントがたくさんある」と松岡を絶賛。役作りについて話した時に「私が演じた良香は」と役名を間違ってしまうほど、松岡と松岡演じる良香にゾッコンの様子をうかがわせた。

 大九明子監督(49)は「脚本も好きなように書かせていただき、好きなように撮らせていただき、良香的なものは私の脳にある。私の良香だ、黙れ、というくらい突っ走った」と口にした。

 松岡もたまらず「私が良香ですね。ずっと言いたかった。私が良香。奪われかけていたから私かな」。さらに「忘れられない思い、気持ち、忘れられない人がいる人のお葬式場になるような映画。思いを抱えた記憶は、この場で葬ってもらえたら。そういう映画です」と話した。

 劇中で二を演じ、主題歌「ベイビーユー」を手がけたロックバンド黒猫チェルシーのボーカル渡辺大知(27)も登壇した。【村上幸将】