樹木希林(75)が22日、都内で映画「モリのいる場所」(沖田修一監督、5月19日公開)の完成披露舞台あいさつに出席。

 主人公モリを演じる山崎努(81)は文学座の先輩に当たるが、役者人生57年目にしてようやく訪れた“初共演”に「こんなことが起こるとは思ってもいなかった」と喜びを隠さなかった。

 映画は画家、熊谷守一(モリ)の晩年を描いた作品。庭に訪れる猫やアリ、ちょうなどを慈しみ描くモリと、そんな夫に深い愛情をもち寄り添う妻秀子が織りなす、熟年夫婦の物語。平凡な夫婦の暮らす一軒家には、マンション建設の危機が迫る。

 樹木は山崎について聞かれると、「芸能界に入ってからただの一度も、画面でご一緒したことがない。夫婦役と聞いて、『やらせていただきたい』とすぐに返事をしました」と、二つ返事で出演を決めたことを明かした。樹木にとって山崎は、自身が駆け出しの女優だった頃から、黒沢明監督作品に出演していた「憧れの的で遠い人」。「18のときに役者になって、こんなことが起こるとは思ってもいなかった」と恐縮していた。

 私生活ではロックミュージシャンの内田裕也(78)と40年近く別居を続けている樹木。夫婦にとって大切なことを「向き合わないこと。欠点が見えてくるから。同じ目的に向かう、それがいちばんだと思います」と話したが、「(私生活では)それをやってこなかったから、いまだに電話1本でも向き合っちゃってるんですけどね」とばつが悪そうに笑っていた。

 舞台あいさつには吉村界人、青木崇高、池谷のぶえも出席した。