新映画レーベル「Cinema Lab(シネマラボ)」が発足し、第1弾として「踊る大捜査線」シリーズで知られる本広克行監督(55)の「ビューティフル ドリーマー」が11月6日から全国で順次、公開されることが11日分かった。本広監督の実写映画は約2年半ぶり。主人公のサラを、来年に長編映画デビュー作「海辺の金魚」の公開が控える女優小川紗良(24)が演じる。

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日本の実写映画歴代興収1位の「踊る大捜査線THE MOVIE2」を手がけた本広監督にとって、18年3月公開の「曇天に笑う」以来の実写映画だ。映画を撮ったことのない美大映画研究会の部員たちが、いわくつきの台本の映画化に挑む姿を描く。SF研究会を描いた05年「サマータイムマシン・ブルース」、演劇部を描いた12年「幕が上がる」に続く“青春映画3部作”の新作となる。

本広監督は、アニメ映画「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」などで知られる押井守監督(69)に原案を依頼。出来上がったのは、学園祭のために曲作りに奮闘する軽音楽部を描いた作品だったが、舞台を映画研究会にアレンジした。その上で、NHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」でヒロインの娘役を演じて話題となり、早大在学中に映画を製作した小川を主演に起用した。

撮影は6月下旬、多摩美大上野毛キャンパスで実施。実験的な試みとして、台本に大まかな筋だけ立てて、監督と俳優が打ち合わせて芝居をまとめる“口立て”で演出した。

本広監督は「映画をどう進化させるか、次世代のクリエーターが撮りたいものを撮ることが出来る場を作ることが出来ないかと思っていました。小川さんは映画を作っていて、自然と出る“演出する言葉”を知っている。強いまなざしが絶対に必要な人でした」と語った。小川はコロナ禍の中「サークルで映画を撮っていた頃を追体験するような日々でした。サークル活動や映画撮影の在り方が変わり果てた今、この映画は思いがけず癒やしになるかもしれません」と期待した。

小川のほか神尾楓珠、秋元才加、斎藤工、升毅らが出演する。