宝塚歌劇団の花組トップ柚香光が24日、相手娘役の星風まどからとともに退団公演「ミュージカル『アルカンシェル』~パリに架かる虹~」の兵庫・宝塚大劇場公演千秋楽を迎え、本拠地に別れを告げた。

本編後のサヨナラショーは、トップ就任前と就任後、2度主演した代表作のひとつ「はいからさんが通る」で幕開け。伊集院忍にふんした軍服姿で登場した。星風とのダンサー・コンビならではのデュエット、永久輝とも「二人だけの戦場」から「理想の為に」を歌った。

サヨナラショーを終えると、最後の本拠地大階段下りは、黒えんび。同期からの花は花組に同期配属された専科の水美舞斗から渡され、2人で抱擁。化粧がついたのか、水美のジャケットを払うしぐさも見せた。

柚香は花束を手に「15年間、ただひたすらに走ってきました。すべてを、青春のすべてをささげてきました」と言い、大劇場の客席を見渡した。

「上り坂下り坂、ぬかるみのような道もあり、なかなか進めない日もありました。けれどもその道中、たくさんの絶景が待っていました。道の先には必ず、報われる景色がありました」

感極まったような表情も見せつつ、あいさつした。

「私にとって大好きな景色です。お客さまのキラキラとした目、見渡す限りのキラキラとした絶景。お客さまが笑顔になり、私の足取りも軽くなりました。こんなにも幸せな景色ならば、なんの悔いも残りません。私はこの絶景を一生忘れません!」

言葉を強めて、本拠地へ、ファンへ感謝。そして、仲間へのあふれる愛の思いを続けた。

「15年間、さまざまなお導きをくださいました諸先輩方、95期の仲間、花組の皆々様、支えてくれた両親…。この思い出の詰まった宝塚大劇場とは、この絶景とも今日でお別れです。大劇場を通して、花組男役柚香光を愛してくださったすべてのお客さまに、15年間の感謝をこめて御礼を申し上げます」

カーテンコールにも何度もこたえ、感謝の思いを繰り返した。

また、柚香と同時退団する星風は、ゆっくりと階段をおり「10年前、この場所から私の舞台人としての人生がスタートしました」。14年入団の100期生。宙組配属から17年11月に前宙組トップ真風涼帆の相手娘役としてトップ娘役に就き、21年2月に専科。同7月に花組へ移り、柚香の相手娘役に迎えられた。

星風は「支え合った同期、導いてくださいました真風さんをはじめとした宙組の皆さん、スタッフの皆さま、こんな私を温かく迎え、幸せをくださりました花組の皆さん、そして柚香光さん! 私の人生において、大切な宝物でございます」とあいさつした。

今回は柚香、星風らともに4人が同時退団。人気スター帆純まひろは、大好きな宝塚の舞台で「お客さまに何がお届けできるのか、考え続けた11年間でした。強くなりたい。無力な自分に言い聞かせてきました」。大切な人を笑顔にしようと舞台に立ったと言い「これからも宝塚が続くかぎり、自分の心が帰ってこられる場所があると思えます」と、宝塚への愛を語った。

2月10日に開幕した柚香らのラスト作は宝塚公演を終え、東京宝塚劇場で4月14日に開幕。東京千秋楽の5月26日をもって退団する。