俳優中村雅俊(75)の妻で、俳優の五十嵐淳子(本名・中村淳子)さんが4月28日、死去した。73歳だった。
近親者での葬儀を終えた5月2日に、中村の所属事務所が発表した。
2人は日本テレビ系ドラマ「俺たちの勲章」(75年)で共演し、77年2月に結婚した。芸能界のベストカップルに選ばれたこともあり、来年が金婚式(結婚50周年)だった。
中村は「俺の人生最大のラッキーは妻と出会えたことでした。その妻を亡くすことなど考えたことがなくて、今はその現実を受け止めることができません。これから少しずつ前を向いて生きていこうと思っているので、今はただ静かに見守ってください」とコメントを出した。
過去、芸能界で妻に先立たれたおしどり夫婦は、数多い。残された夫のコメントや会見で、悲しみの深さと妻へのいとおしさがにじみ出た。
1996年(平8)6月27日、俳優仲代達矢さんの妻の宮崎恭子さんが膵臓(すいぞう)がんで死去した。65歳だった。
俳優から脚本・演出家となり、俳優養成所「無名塾」設立に尽力した。39年間、仲代さんを支えた。
1歳年下だった仲代さんは、その後のインタビューで話した。
「僕に強さがあったとしたら、宮崎恭子という相棒がいたからです。彼女が亡くなり、手足をもがれたような喪失感のなかで切実にそう思いました。後追い自殺すら考えました」
09年10月21日、女優南田洋子さんがくも膜下出血で死去した。76歳だった。
約46年共に過ごした夫の俳優長門裕之さん(当時75)が同日夜、会見した。
「僕のいとおしい大好きな女房が、さよならも言わずに永眠しました」
「僕の素晴らしい思い出の中で洋子は生きています。永遠のものです」
18年4月27日、俳優、舞踊家、歌手などで活躍した朝丘雪路さんが、アルツハイマー型認知症で死去した。82歳だった。
45年間、朝丘と共に歩んだ夫で俳優の津川雅彦さん(当時78)が、肺の病で鼻に酸素吸引用のチューブをつけて会見した。
「悔いは思い出せないくらいいっぱいある。すべてに感謝です。娘を産んだことも含めて。(津川の借金で)家を売ってくれたこと。僕よりも先に死んでくれたことも含めて」
18年9月15日、俳優樹木希林さんが心不全のため死去した。75歳だった。
別居など“つかず離れず”の夫婦関係を45年間続けたミュージシャンの内田裕也さん(当時78)が後日、コメントを出した。
「最期は穏やかで綺麗(きれい)な顔でした。啓子(希林さんの本名)、今までありがとう」
「人を助け、人のために祈り、人のために尽くしてきたので、天国に召されると思う」
「おつかれ様。安らかに眠ってください。見事な女性でした」
20年4月23日、俳優岡江久美子さんが新型コロナウイルス感染症による肺炎で死去した。63歳だった。
約37年一緒だった夫の俳優大和田獏(当時69)は、感染対策のため完全防備の服装で、1人だけ対面を許された。納体袋に入れられた妻の顔を、約15分見ることができた。
一周忌を終えた21年4月に、大和田は初めて取材に応じた。
「慟哭(どうこく)とはこういうことなんだと思いました。顔を見てきれいだな。お前、死んでもきれいだなと思いました」
「つらかったけど、娘と孫の存在が大きかった。妻のたくさんの友人が支えてくれました。感謝の気持ちを述べたいと思います」
もちろん夫に先立たれた妻の悲しみも同等に深い。我が身を振り返りながら、胸が締め付けられる取材である。【笹森文彦】



