社会学者で東大名誉教授の上野千鶴子氏(77)が5日までにX(旧ツイッター)を更新。衆院選(8日投開票)を戦う高市早苗首相をめぐり、自身の著書で記した言葉を引用して「ぴったりな気がする」と表現した。投稿は表示279万回を超え、1000を超えるコメントが付き、著名人も反応するなど大きな反響が起きている。
上野氏は3日夜の投稿で、「その昔、日本文化論を書いて『女装した家父長制』と名づけた。高市首相を見ているとぴったりな気がする」と記した。その段階では、週刊文春が高市氏事務所と旧統一教会友好団体の関係を巡る新疑惑記事を報じることを具体的内容に一部ふれつつ予告。また1日放送のNHK「日曜討論」を急きょ欠席したことや、高市首相の円安についての「ホクホク」発言をめぐり、みずほ銀行がチーフマーケット・エコノミスト名義で「高市演説を受けて~危うい現状認識~」と題したリポートを公開したことなどが話題となっていた。
一方、上野氏の投稿をめぐっても、賛否が多数寄せられる事態に。漫画家の倉田真由美氏は、「フェミニストの大家が女性を貶める。一体どういう女性なら『真の女性』なの?」と疑問を投げかけた。
中大法科大学院教授で弁護士の野村修也氏は「この発言は、女性ならば家父長制的因習に反対すべきだという価値観を前提にしている。逆に言えば男性は皆、かかる因習を是としているとも読める。しかしそれを否定する男性もいるし、是認する女性もいるのが社会。皆、生身の人間で男装も女装もしていない。それが見えない社会学って何だか残念すぎる」と指摘。続けて「自分が良しとしない考えの人は、社会のせいで知らず知らずのうちに悪い考えを植え付けられているとみなして啓蒙の対象とし、自分が良しとする考えの人は、真実に目覚めた優れた人材として絶賛する。この自分基準の上から目線が実は他人の自由や多様性を狭める。意識高い系リベラルと揶揄される所以だ」と私見を投稿した。
家父長制は、「家長」とされる男性が家族関係や社会的関係、財産などに対して絶対的な支配権を持つ構造。中世の欧米で発展した。日本でも鎌倉時代から江戸時代にかけて事実上の家父長制が存在したが、明治政府が民法で、「家」を制度とし、家長である「戸主」などを定めたことで法的に確立された。戦後は男女平等のもとで廃止されたが、一部の層の意識や感覚の中には残っている、と指摘する声もある。

