競馬は“生き物”です。前週のNHKマイルCと同じ舞台で、前半800メートルは前週が46秒3、今回は46秒2。ほぼ同じですが、後半の800メートルはそれぞれ47秒5、46秒0とまるで違いました。Aコース、やや重で前崩れとなった前週と違い、Bコース、良馬場発表のヴィクトリアMは前の馬が残る競馬になりました。

ソングラインは3枠6番という好枠からスタートを決めて、前半は好位勢の直後でした。すぐ前にスターズオンアースがいて、その前方には白毛のソダシ。人気馬2頭を見ながら運べる絶好のポジションでした。

直線では一瞬、その2頭の外へ進路を取ろうとしましたが、出せないと判断するや、戸崎騎手は腹をくくって内をつきます。馬場は緩かったはずですが、最後はソダシの内から頭差だけ前に出ました。G1で内から差し切るシーンはあまり見ません。最後はソングラインの底力でしょう。さすが、牡馬を相手に昨年の安田記念を勝った馬です。

それにしてもタフな牝馬ですね。昨年も今年もサウジに遠征しながら、帰国後もしっかりと能力を発揮。ひと昔前なら考えられないことでしたが、今はそれだけ輸送や調教のノウハウがあります。今後も国内外での活躍を期待しましょう。

2着ソダシは、勝った昨年と同じタイムで走破しています。1年前は2馬身差の完勝でしたが、今年は頭差2着。大外枠も多少影響したと思いますし、相手も去年より少し強かったということでしょう。

1番人気のスターズは3着。直線を向いた時にルメール騎手は差し切れると思ったはずです。ところが、そこからもたつきました。ゴール前はしっかり伸びていただけに、もう少し距離があれば…という典型的な負け方です。マイル自体はこなせますが、1年以上ぶりの距離だった分、ギアチェンジに時間を要した印象です。(JRA元調教師)

ヴィクトリアMを制したソングラインとファンにガッツポーズする戸崎圭太騎手(撮影・鈴木正人)
ヴィクトリアMを制したソングラインとファンにガッツポーズする戸崎圭太騎手(撮影・鈴木正人)