英国のチャンピオンズデーと米国のブリーダーズカップのはざまになる23日日曜は日本で3冠を締めくくる菊花賞が行われます。昨年と同様に皐月賞馬もダービー馬もいませんが、3000メートルという距離で最も力を発揮する馬を血統や馬体、走法などから探し出す楽しみは菊花賞ならではでしょう。
欧州で菊花賞に当たるレースは英国とアイルランドのセントレジャー、フランスのロワイヤルオーク賞になりますが、アイルランドでは1983年に、フランスでは1979年から古馬に開放されてレースの性格は変貌。セントレジャーだけが3冠の概念を残していますが、今年の勝ち馬のエルダーエルダロフは、次の英チャンピオンズロングディスタンスカップで古馬の壁にはね返されて7着に大敗。勝ち馬は歴史に埋没しがちです。
昨年も海外競馬の合間を縫って、菊花賞に触れました。今年は「血統」の観点から菊の勝ち馬にアプローチしてみようと思います。
筆者は血統表を見る時、まず、お母さんからおばあさん、さらにひいおばあさんと母系をさかのぼって牝系のボトムラインを見ていきます。そして、それぞれにどんな種馬がつけられているかを確認します。大切にされている牝系は代々、いい種牡馬がつけられているので、これを見れば、その牝系の「格」のようなものが浮かび上がってきます。大仕事をする馬には往々に、この「格」が備わっているものです。
菊花賞出走馬の中で、これが光っていたのがヤマニンゼスト(牡、父シンボリクリスエス、栗東・千田輝彦厩舎)でした。シンボリクリスエスとヤマニンバステトの間に産まれた同馬は、ここまで8戦2勝。前走の神戸新聞杯はジャスティンパレスの2着でした。
母のヤマニンバステトはディープインパクトと母のマダニナの間に誕生した牝馬でJRAで2勝。特別レースを1勝した。
祖母のマダニナは欧州チャンピオンサイアーに長く君臨したサドラーズウェルズの娘で、JRAでやまゆりステークスや胡蝶蘭賞など3勝を挙げました。
曽祖母ミニャは、名種牡馬ブラッシンググルーム(ナシュワン、レインボウクエストの父、ラムタラの母の父)の娘で、フランスで勝ち星を挙げ、重賞のG3サンドリンガム賞で3着しました。ミニャの母(ヤマニンゼストの4代母)のリヴァークイーンは、フランスの桜花賞にあたるG1仏1000ギニー優勝を筆頭に、G1サンタラリ賞、牡馬相手のG1サンクルー大賞に勝ち、2400メートルで行われていたG1仏オークスでも2着した名牝です。
この牝系が枝分かれしたのが、ノーザンファームの「バラ一族」で、先週の秋華賞を勝ったスタニングロース(牝、父キングカメハメハ、母ローザブランカ、母の父クロフネ)も牝系をさかのぼるとリヴァークイーン(スタニングローズの6代母)にたどり着きます。
ファミリーには仏オークス馬のレディインシルヴァー、英国の1000ギニーとコロネーションステークスのフェストーン、芝2400メートルのバーデン大賞に勝ったアティラ、芝3000メートルのヴィコムテッスヴィジエール賞を制したラスマニノフなどがいます。もちろんローズキングダム、ロゼカラー、ロサード、ヴィータローザなど「バラ一族」も近親ということなります。
これに菊花賞馬エピファネイアを送るシンボリクリスエスが配合されて誕生したのがヤマニンゼスト。そういえばエピファネイアの牝系にもサドラーズウェルズの血が入っていました。スタミナには太鼓判が押せそうです。これに加えて鞍上は菊花賞5勝の武豊騎手。絶好の5番枠を引いて風も吹いてきたようです。
今週のは“血統”の番外編でした。
(ターフライター奥野庸介)



