今年のニューヨーク牝馬3冠競走は、ベルモントパーク競馬場の改修工事によって、すべてサラトガ競馬場を舞台に行われています。7月20日(土)には、その第2関門となるG1・CCAオークス(ダート1800メートル、サラトガ)が4頭によって争われました。

人気は5月のG1ケンタッキーオークス(ダート1800メートル、チャーチルダウンズ)と、3冠初戦のG1エイコーンS(ダート1800メートル、サラトガ)を連勝中のソーピードアンナ(牝3、父ファストアンナ)が被って単勝1・25倍。普段はもっさりとしながら競馬になると一変した動きをみせることで“グリズリーベア”と呼ばれる鹿毛馬のレースぶりに注目が集まりました。

レースはスタートで1完歩遅れながらもすぐに挽回したソーピードアンナが2番手追走から直線抜け出して独走。期待に違わぬ走りで、前走のエイコーンステークスに続く2冠を達成しました。4馬身半差の2着にキャンディード(牝3、父キャンディライド)、さらに4馬身差の3着にイントリケート(牝3、父ガンランナー)が入線しました。

通算成績を7戦6勝としたソーピードアンナは、調教師夫人のシェリ・マクピーク氏を代表とするマグダレナレーシングなど7人(法人)による共有馬。2021年に死亡した父のファストアンナは、父メダーリアドーロ、母に2歳牝馬チャンピオンのドリーミングオブアンナを持つ良血スプリンターでしたが、種牡馬としては恵まれず、この馬が唯一の活躍産駒となっています。ソーピードアンナの近親にはG1ウッドメモリアルS(ダート1800メートル)を制し、我国に種牡馬として導入されて今年3月に死亡したエスケンデレヤ(父ジャアンツコーズウェイ)も名を連ねています。

一昨年のファシグティプトンセールで4万ドル(約620万円)という廉価で落札されたソーピードアンナは、ケネス・マクピーク厩舎に入厩。昨年10月のキーンランド競馬場、ダート1400メートル戦でデビュー勝ちを飾ると、2戦目のチャーチルダウンズ競馬場、ダート1600メートル戦も連勝。2歳戦の最後となったG2ゴールデンロッドS(ダート1700メートル)はイントリケートの2着でしたが、今年初戦となったG3ファンタジーS(ダート1700メートル)では3番手からいい脚を長く使って4馬身差の完勝。5月のケンタッキーオークスではブライアン・ヘルナンデスJr.騎手の誘導で内ラチ沿いに先頭に立って、直線で泥だらけになって追いすがる2歳女王のジャストエフワイアイに4馬身4分の3差をつけて連勝し、前走のエイコーンSでは主導権を握ったジャストエフワイアイの2番手から抜け出して楽勝。2着のレスリーズローズに5馬身半差をつけて3歳牝馬に敵なしを宣言しました。

ケンタッキーオークス、エイコーンS、CCAオークスの3連勝は今世紀では17年のエイベルタスマン、18年のモノモイガールに次いで3頭目。ソーピードアンナは早くも今年のエクリプス賞最優秀3歳牝馬が確実視されています。

一流の競走成績を挙げた牝馬の価値は以前にも増して高くなっていて、エイベルタスマンは引退後に上場されたキーンランドミックスドセールで500万ドル(約7億7500万円)でクールモアに売却され、合計で6つのG1を制して21年に引退してケンタッキーのスペンドスリフトで繁殖入りしたモノモイガールの価値は1000万ドル(約15億5000万円)とも言われています。

ソーピードアンナの次走候補に挙げられている“真夏のダービー”G1トラヴァーズS(ダート2000メートル、8月24日=サラトガ)にはCCAオークスと同日に行われたG1ハスケルSを制したドーノックなど牡馬一線級が集まる予定。年度代表馬も視野の片隅に収めている“グリズリーベア”の動向に熱い視線が注がれています。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは2024年7月26日現在