日本のエースで団体銅メダルに貢献した坂本花織(21=シスメックス)が自己ベストの79.84点で3位につけ、強豪ROCの一角を崩した。大トリで登場すると安定感のある演技を披露。リンクを降りると思わず涙をこぼした。初出場の樋口新葉(21=明大)は73.51点で5位発進。トリプルアクセル(3回転半)に成功し、五輪女子史上5人目の成功者になった。同じく初出場の河辺愛菜(17=木下アカデミー)はトリプルアクセルで転倒。自己ベストに10点以上届かず、15位だった。
ドーピング違反となりながらもスポーツ仲裁裁判所(CAS)から個人戦出場を認める裁定が下ったROC(ロシア・オリンピック委員会)のカミラ・ワリエワが82.16点で首位に立った。冒頭のトリプルアクセルの着氷が乱れたが、その後は立て直した。ただ、自身が持つ世界最高得点には8点以上及ばなかった。2位は昨年の世界選手権優勝のアンナ・シェルバコワ(ROC)で80.20点。同じくROCのアレクサンドラ・トルソワは74.60点の4位となった。
ワリエワが24位以内に入ったため、上位25名がフリーへ進む。
順位 | 選手 | 得点 |
---|---|---|
1 | カミラ・ワリエワ(ROC) | 82.16 |
2 | アンナ・シェルバコワ(ROC) | 80.20 |
3 | 坂本花織(シスメックス) | 79.84 |
4 | アレクサンドラ・トルソワ(ROC) | 74.60 |
5 | 樋口新葉(明大) | 73.51 |
6 | 劉永(ユ・ヨン=韓国) | 70.34 |
7 | ルナ・ヘンドリックス(ベルギー) | 70.09 |
8 | アリサ・リウ(米国) | 69.50 |
9 | キム・イェリム(韓国) | 67.78 |
10 | アナスタシヤ・グバノワ(ジョージア) | 65.40 |
11 | マライア・ベル(米国) | 65.38 |
12 | エリスカ・ブレジノワ(チェコ) | 64.31 |
13 | カレン・チェン(米国) | 64.11 |
14 | ニコル・ショット(ドイツ) | 63.13 |
15 | 河辺愛菜(木下アカデミー) | 62.69 |
16 | エカテリーナ・リャボワ(アゼルバイジャン) | 61.82 |
17 | ビクトリア・サフォノワ(ベラルーシ) | 61.46 |
18 | オリガ・ミクティナ(オーストリア) | 61.14 |
19 | アレクシア・パガニーニ(スイス) | 61.06 |
20 | マデリン・シーザス(カナダ) | 60.53 |
21 | エバロッタ・キーブス(エストニア) | 59.55 |
22 | リンゼイ・ファン・ズンデルト(オランダ) | 59.24 |
23 | アレクサンドラ・フェイギン(ブルガリア) | 59.16 |
24 | エカテリーナ・クラコワ(ポーランド) | 59.08 |
25 | イェンニ・サーリネン(フィンランド) | 56.97 |
26 | ジョセフィン・タイガード(スウェーデン) | 54.51 |
27 | 朱易(ジュ・イー=中国) | 53.44 |
28 | ナターシャ・マッケイ(英国) | 52.54 |
29 | カイラニ・クレイン(オーストラリア) | 49.93 |
30 | アナスタシア・シャボトワ(ウクライナ) | 48.68 |
河辺愛菜 15位
(演技構成)3A/3Lz+3T/FSSp/3F/StSq/LSp/CCoSp
「いってらっしゃい」の声に押されてリンク中央へ。冒頭のトリプルアクセル(3回転半)は転倒。それでもルッツからの連続3回転ジャンプをきれいに着氷し、3回転フリップも成功した。レイバックスピン、コンビネーションスピンでは最高難度のレベル4を獲得。自己ベスト73.88点に10点以上及ばない62.69点に、表情には悔しさがにじんだ。
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樋口新葉 5位
(演技構成)3A/3Lz+3T/FCSp/3F/CCoSp/StSq/LSp
何度も深呼吸してリンク中央へ。冒頭のトリプルアクセル(3回転半)に降り立ち、伊藤みどり、浅田真央、長洲未来(米国)と今大会団体戦SPで決めたワリエワに次いで五輪女子史上5人目の成功者になる。ルッツからの連続3回転ジャンプは後半で回転不足を取られるも降り立ち、3回転フリップと合わせてジャンプは全て着氷。表情からは硬さが取れ、笑みもたたえながらステップシークエンスを舞う。4つの要素のうち3つで最高難度のレベル4を獲得。演技後は笑顔になり、73.51点にも満足げ。
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カレン・チェン(21年世界選手権4位) 13位
(演技構成)3Lz+3T/2A/CCoSp/FCSp/3Lo/StSq/LSp
冒頭の連続ジャンプは高さがあり、流れよく着氷。ダブルアクセルもしっかりと決める。回転が速いスピンで、レベル4を重ねる。しかし、3回転ループで転倒。フィニッシュ後は思わず頭を抱え、氷にうつむく場面も。
カミラ・ワリエワ(世界最高得点保持者) 1位
(演技構成)3A/3F/CCoSp/3Lz+3T/StSq/FCSp/LSp
直前6分間練習では乱れがあった。緊張感を漂わせて演技スタート。冒頭のトリプルアクセルは着氷に乱れ。しかし、3回転フリップは成功する。3回転ルッツ-3回転トーループは、両手を上げて跳ぶ「タノジャンプ」できれいに降り立った。フライングキャメルスピンでは会場から拍手。演技後は目頭を押さえる。82.16点にも首を横に振り、納得は行っていない様子。
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劉永(ユ・ヨン=20年4大陸選手権2位) 6位
(演技構成)3A/3Lz+3T/FCSp/LSp/3F/StSq/CCoSp
冒頭のトリプルアクセルに成功したかにみえたがダウングレードの判定だった。3回転ルッツ-3回転トーループは着氷し、浜田コーチも喜ぶ。上体をうまく使った幅の広い演技で、スピン、ステップシークエンスの4つの要素は全て最高難度のレベル4を獲得した。
アレクサンドラ・トルソワ(21年世界選手権3位) 4位
(演技構成)3A/3F/CCoSp/3Lz+3T/FCSp/StSq/LSp
冒頭のトリプルアクセルで転倒。続く3回転フリップは成功。3回転ルッツ-3回転トーループではGOE(出来栄え点)で加点が付くほどの出来栄えだった。スピンやステップシークエンスでも最高難度のレベル4で魅了。キスアンドクライでは笑顔で手を振る。
アンナ・シェルバコワ(21年世界選手権優勝) 2位
(演技構成)2A/3F/FCSp/3Lz+3T/CCoSp/StSq/LSp
世界女王の登場。ROC勢では唯一、ダブルアクセルも危なげなく着氷。3回転フリップ、3回転の連続ジャンプとも鮮やかに降り立ち、スピンの回転速度も速い。一糸乱れぬプログラムで、フィニッシュでは女王の風格を漂わせた。
坂本花織 3位
(演技構成)2A/3Lz/CCoSp/3F+3T/FCSp/StSq/LSp
日本のエースが大トリで登場。ダブルアクセルに着氷。3回転ルッツも流れるような着氷だった。3回転-3回転のコンビネーションジャンプも高さがあった。トレードマークの笑みを振りまくステップシークエンス。両手を掲げるフィニッシュでは万感に浸った。リンクを降りると、思わず涙が流れる。自己ベスト79.84点で、ROCの一角を切り崩す。
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<出場選手と演技順>
グループ1
アナスタシア・シャボトワ(ウクライナ)
イェンニ・サーリネン(フィンランド)
オリガ・ミクティナ(オーストリア)
河辺愛菜(木下アカデミー)
リンゼイ・ファン・ズンデルト(オランダ)
ジョセフィン・タイガード(スウェーデン)
グループ2
カイラニ・クレイン(オーストラリア)
ナターシャ・マッケイ(英国)
アナスタシヤ・グバノワ(ジョージア)
マライア・ベル(米国)
マデリン・シーザス(カナダ)
朱易(ジュ・イー=中国)
グループ3
エリスカ・ブレジノワ(チェコ)
エバロッタ・キーブス(エストニア)
アレクサンドラ・フェイギン(ブルガリア)
ビクトリア・サフォノワ(ベラルーシ)
ニコル・ショット(ドイツ)
アレクシア・パガニーニ(スイス)
グループ4
キム・イェリム(韓国)
樋口新葉(明大)
エカテリーナ・クラコワ(ポーランド)
アリサ・リウ(米国)
ルナ・ヘンドリックス(ベルギー)
エカテリーナ・リャボワ(アゼルバイジャン)
グループ5
カレン・チェン(米国)
カミラ・ワリエワ(ROC)
劉永(ユ・ヨン=韓国)
アレクサンドラ・トルソワ(ROC)
アンナ・シェルバコワ(ROC)
坂本花織(シスメックス)