男子SL3(立位・下肢障害)世界ランキング4位の藤原大輔(23=LINE)が、気力を振り絞って1日5試合を戦い抜いた。

 混合ダブルス1次リーグには、SU5(立位・上肢障害)の世界ランキング3位・豊田まみ子(25=ヨネックス)とのペアで出場。初戦はストレートで快勝したが、2戦目で昨年のアジア選手権準優勝の中国ペアに、3戦目もタイのペアにフルゲームで屈して敗退が決まった。しかし、その後に行われたシングルス1次リーグではスコットランド、インド選手にストレートで連勝してグループ2位以上を確定し、決勝トーナメント進出を決めた。

 最後の5試合目を終えた藤原が取材エリアに姿を現したのは約50分後だった。生後間もなくかかった感染症で左大腿(だいたい)を切断。義足を使ってプレーするが、軸になる右足が過度の疲労からけいれんを起こしていたためだ。「足がつった状態。試合前から違和感がありました。体を酷使してボロボロの状態でしたが、気持ちで相手に負けていなかった」。いすに座って質問を受けた藤原は、大きく息を吐き出しながら言った。

 日本で初開催の国際大会。めったに世界舞台に登場しない中国勢をはじめ、世界29カ国から強豪が参集した。1次リーグからハイレベルな競り合いで試合時間が長くなり、試合間に十分な休養が取れなかった。しかもこの日、藤原が戦った男子選手5人に義足使用者はいない。クラス分けのルール上、避けられない現実。「確かに義足は不利だと思います。でも、それを言っても始まらないので、負けないように努力、工夫するだけでです」。

 4日の国際パラリンピック委員会(IPC)理事会で、男子SL3クラスの20年東京大会実施も決まった。「試合経験を積むことでメンタル面も強化していきたい」という藤原は第2日の8日、シングルス1試合、ダブルス3試合を戦う。【小堀泰男】