日本が熱狂したワールドカップ(W杯)ロシア大会。フランスが2度目の優勝を決めて幕を閉じました。ここから、欧州は新シーズンに向けて動いていきます。

 最近の大きな動きはレアル・マドリードの看板選手だったポルトガル代表のスーパースター、クリスティアノ・ロナウド選手がメガディールを伴ってついに移籍を果たしました。FIFAの定める移籍期限である8月下旬に向けて来季のチーム作りが行われるところであると思います。

 今回注目してみたいのはW杯やそれと並ぶ規模の欧州チャンピオンズリーグなどの、イベントで動くお金の部分です。

 昨今、選手への契約金で「数十億円」といった天文学的な数字がニュースで飛び交うのをよく見かけると思いますが、今回のC・ロナウド選手のケースも、移籍金だけで総額約1億ユーロと言われており、これは日本円で130億円前後になります。さらにここにFIFAの手数料や年3000万ユーロ(約39億円)とされる選手への給与が発生しますから、この時点でもう天文学的な金額になっているわけです。

 また、世界中のサッカー選手が頂点を目指すメガコンテンツ、W杯ですが、実はロシアで行われている今大会の賞金は優勝国が3800万ドル、準優勝国が2800万ドル、3位で2400万ドルという金額になります。これ以外にもグループステージ敗退国には800万ドルが支払われ、出場全32カ国には大会準備金としてそれぞれ150万ドルが分配される予定で、出場国は最低でも950万ドルを手にすることになるとFIFAが発表しております。

 1ドル110円で換算しますと、優勝国で約42億円、準優勝国が30億円、3位で26億円という金額になります。実に夢のあるお話に聞こえてくるかと思います。さらにこれらの賞金は細分化されており、つまりグループリーグ・決勝トーナメントには全ての試合に勝利給が設定されており、全ての参加国が多額の賞金を分配金として受け取ることができる仕組みになっております。

 W杯では大きく4項目に分けて賞金を分配金として設定しており、項目は次の通り。

1、各国連盟・クラブに支払われる分配金(全体の約50.6%)

2、大会への準備費用(全体の約6.1%) 

3、選手を派遣するクラブへの補填金(全体の約26.4%)

4、選手が大会中に負傷した際の補填金となっている(全体の約16.9%)

 では、今回大活躍を見せてくれたわれらが日本代表はいったいいくらぐらい手にしたのかというと、今回の日本代表は1次リーグを突破し決勝トーナメント1回戦敗退ということですので、ベスト16の分配金として1200万ドル、これに準備金150万ドルが加わりますから、合計で1350万ドル(1ドル110円換算で14億8500万円)になります。この金額が日本の場合は日本サッカー協会に入ります(選手がそのまま受け取るわけではありません)。

 もし、1次リーグで敗退していたらどうなっていたでしょうか。この場合、受け取ることができるのは1200万ドルではなくグループリーグ敗退国分配金800万ドルになりますので、合計で950万ドル(1ドル110円換算で10億450万円)になっておりました。

 逆にベルギーに勝利していたらどうだったでしょうか。この場合はベスト8進出チームへの分配金として1600万ドルが分配されるので合計で1750万ドルとなり、日本円で約18億7000万円が振り分けられることになります。このように巨額な金額が動き、世界中を熱狂の渦に巻き込むのがW杯です。

 次回は欧州CLの賞金などについて触れたいと思います。【酒井浩之】


 ◆酒井浩之(さかい・ひろゆき) 1979年(昭54)8月24日、愛知県生まれ。幼少時よりサッカーに打ち込み、大学卒業後は広告代理店やスポーツメーカーに勤務。2015年3月にレアル・マドリード大学院スポーツマネジメントMBAコースに日本人として初めて合格。同コース卒業後レアル・マドリードへ同コースから唯一の選出にて入社し、2017年6月末日にて退社。現在は、スペインと日本を行き来しながらスポーツビジネス領域におけるコンサルティングなどを手掛けている。