決勝をはじめ、今大会の日本は5バックで守る相手に苦しんだ。日本がリスペクトされているから引くんだ。でも、その格下相手に打開する力がなかったのが日本の現状だ。準決勝でイランに味わわせた思いを、決勝では日本が味わうことになってしまった。

「準優勝だけど成長している」などと言わないでほしい。優勝という目標を達成できなかったのだから、大いに反省してほしい。ただでさえワールドカップ(W杯)ロシア大会の後、反省もしないで突貫工事で森保ジャパンが誕生した。今は結果、内容ともに冷静に分析すべきだ。

選手層の薄さ、個の力不足が明らかだった。大迫に頼りきりで、下から突き上げる選手がいない。先発10人が海外クラブ所属だなんて、Jリーグの選手が成長していないということ。欧州組の柴崎はクラブで出場機会が少ないから、W杯時と比べて物足りない。堂安も南野も期待ほど結果が出ない。彼らに求められるのは得点だ。格下相手に得点できないから、1次リーグから苦しんだのだ。

冨安と堂安のほかに東京五輪世代で伸びそうな選手はいないのかな? 故障者の関係で乾が追加招集されたけど、あの程度しか使わないなら、五輪世代に経験を積ませた方がよかったような気がする。

VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)についても意識を変える必要が出てきた。吉田のハンドは「そういうつもりじゃなかった」というものだろう。だが、準決勝で南野のパスが腕に当たった相手も同じだ。「証拠」があれば「つもり」は関係ないような判定がある。感情ではなく、中立的な立場でとらえないとならなくなる。

今大会を振り返って、慰めの言葉をかけられるようでは、まだ日本はアジアの中で「チャレンジャー」なんだ。「王者」が決勝で負けたらたたかれるのだから。(日刊スポーツ評論家)