守備陣安定、攻撃陣深刻。メキシコ戦もこの図式は変わらないだろうね。問題の攻撃陣は、全選手を合算しても、今季、英プレミアリーグで8試合8得点の韓国代表FW孫興民(ソン・フンミン=トットナム)1人に満たないんじゃないの。こんな食材で、おいしい料理を作るのは、不可能に近いだろうな。

実力が足りないのに、危機感がないことにはあきれてしまう。試合後のインタビューで「次は修正して臨みたい」とのコメントをよく聞く。私はそういう選手には「誰が君を次も使うと言ったんだ。次があると思っているのか」と聞きたい。まともなチームなら、実戦で結果が出せない代表選手に、しばらくは次のチャンスはない。森保監督は優しすぎるんだね。

「得点したい」じゃダメなんだ。「点を決めないと次はない」と思わなきゃ。南野や久保らが、この気持ちで試合に向かっているんだろうか。実力と実績が足りない上に、闘争心も欠けるようじゃ、点が入るわけがない。このままなら、いつまで立っても日本代表は得点力不足に苦しむね。

日本協会は解決策を本気で考える時期にきた。アジア杯で優勝したカタールは多くが帰化選手だし、このほど中国はブラジル人FW2人を国籍取得させた。世界で国籍を変えて代表選手になることは珍しくない。現状ならW杯アジア最終予選を勝ち抜くことは簡単じゃないだろうな。

日本出身者を重視する人もいるが、もう古い考えは捨てよう。ラモスも呂比須も闘莉王も三都主も、日本代表にいい風を吹かせたんじゃなかったの? 闘志をむき出しにする気迫。メキシコ戦は、この姿が見たいね。「点を取らないと、帰化組がやってくる。オレの席はなくなる」。これくらいの危機感がほしいね。(日刊スポーツ評論家)