18年W杯ロシア大会に向け、日本がまさかのドロー発進となった。日本(FIFAランク52位)は格下シンガポール(同154位)と0-0で引き分けた。23本もシュートを打ったが決まらなかった。公式戦初采配のバヒド・ハリルホジッチ監督(63)もアジアのW杯予選の厳しさを突き付けられた。日本がW杯予選初戦で勝てなかったのは、0-0で引き分けた90年イタリア大会予選香港戦以来。W杯に初出場した98年フランス大会以降は初めての事態となった。
ため息とともに試合が終わった。そして会場は豪雨に見舞われた。大きなブーイングの中、長身のハリルホジッチ監督は立ち尽くすしかなかった。選手が重い足取りで場内1周しているその時、相手のシンガポール代表は全員で勝ち点1を記念し笑顔で集合写真を撮った。まるで敗者と勝者、そんな差があった。会見場に入ってきた指揮官の目は真っ赤だった。
「私のサッカー人生でこのようなシチュエーションは初めて。約19回の100%入るだろうというチャンスを作った。足りなかったのは慌てたこととプレーの正確性、少しの運。とにかく全部監督のせい。非難したければ、私をしていただきたい。選手はすべて出し切った。選手は守ります。私が少しプレッシャーをかけすぎたのかもしれない」
まさかの展開だった。前半36分には、ふがいない内容に怒り足元のペットボトルを拾い地面にたたきつけた。後半には白いタオルで何度も汗をふいた。同5分。イライラは頂点に達する。テクニカルエリア内で思わず地面に投げつけそうになった。すんでのところで“タオル投入”は回避されたがホームで格下相手のスコアレスドローは“TKO負け”といってもいい。受け入れ難い結果になった。
守りを固め、赤い塊となってほぼ11人で守る相手の粘りに手を焼いた。攻めても攻めても点が入らない。GKイズワンの出来も素晴らしかった。3月に就任し「やり方を、ここ何年間か日本代表がやってきたものと抜本的に変えました」と11日イラク戦後に自画自賛していた速攻が機能しない。徹底して守りを固めてくるアジアの格下相手に速攻を繰り出すスペースなどない。現実を突き付けられた。「こういう試合だったと言うしかない。フットボールに魔法の杖(つえ)はない。汗をかく仕事をするだけだ」。勢いのある言葉は消えた。
後半16分にはMF香川に代えFW大迫を投入。背番号10を外し2トップにし、FW原口もボランチの位置で起用したが、打つ手は当たらず空回り。思わず「こういう試合ならPKがほしかった。ずる賢いイタリア人なら、3回はPKをもらっていた。ナイーブな部分を向上させないと」とこぼした。日本代表監督として初の就任初戦からの4連勝を逃した。何より3年後、W杯ロシア大会への1歩目からつまずいてしまった。【八反誠】
◆記録メモ FIFAランク52位の日本が同154位のシンガポールに0-0で引き分け。対戦成績は日本の20勝2分け3敗となった。日本が同ランク100位以下の相手に勝てなかったのは、13年7月21日の東アジア杯中国戦(ソウル)で3-3で引き分けて以来。このときは日本37位、中国100位だった。今回のように1点も取れなかったケースとなると、11年11月15日のW杯ブラジル大会アジア3次予選、アウェーでの北朝鮮戦(0-1)以来。このときは日本17位、北朝鮮124位だった。
埼玉スタジアムでのW杯予選は過去14戦で12勝2分けという好相性だったが、痛い引き分け。同競技場のW杯予選で無得点に終わったのは初めて。

