先制ゴールで勝利に貢献した原口元気(25=ヘルタ)は、ここ一番では決める男だ。

 今から18年前、原口が小2の時。母玲子さんが入院した。診断は脳動静脈瘤(りゅう)奇形。原因は不明だったが、血液がたまるコブに、あと3CC血液が流れ込めば呼吸をつかさどる神経を圧迫しかねない状態だった。完治には開頭手術が必要で、すぐに手術に踏み切った。当日、8月の夏休み期間中で、原口が所属していた江南南サッカー少年団は練習試合が組まれていた。試合か、それとも母の手術に立ち会うのか。母は「試合に行きなさい」と言っただけだった。父の一(はじめ)さんからは「お前が頑張ればお母さんもきっと大丈夫だ」と背中を押された。

 その日、原口は3試合で7ゴールを挙げすべての試合に勝った。コーチも交代をためらうほどの鬼気迫る表情で、全試合にフル出場。試合後は熱中症で倒れるほどだった。母は医師から「後遺症があるかもしれない」と告げられていたが、現在は後遺症はなく埼玉市内で獣医師として働いている。一さんは「自分が母親を救う」って思っていたのでしょうと懐かしそうに振り返った。重要局面で決めきる力はこの時から備わっていたのかもしれない。【2013~14年浦和担当、現メディア戦略本部・高橋悟史】