【ドーハ(カタール)3月31日=磯綾乃】サッカー日本代表の森保一監督(53)が、W杯カタール大会(11月21日開幕)の組み合わせ抽選会が行われるドーハに到着した。W杯のチケットとともに、ついに戻ってきた因縁の「ドーハの悲劇」の地。1次リーグから強豪国と対戦する可能性もあるが、指揮官は「戦えることにワクワク」と表現。“死の組”も歓迎する心構えだ。組み合わせ抽選会は4月1日午後7時(日本時間2日午前1時)に始まる。

カタールの空が一気に明るくなった午前6時過ぎ。全身を覆った民族衣装、白いトーブ姿の男性や黒いアバヤ姿の女性も行き交うハマド国際空港。グレーのニット姿で現れた森保監督は、気負いもなく穏やかな表情を浮かべていた。

「ワールドカップに出てくるチームはもう、どこも世界的に強豪国になる。どこと当たるにしても、世界の強豪と戦えることにワクワクしながら、抽選会に臨みたいなと思います」

3月31日に国際サッカー連盟(FIFA)によるランキングが決定し、日本は23位が確定。組み合わせ抽選会で、第3ポットに入ることが決まった。第1ポットには前回優勝国のフランスにランキング1位のブラジルやスペイン、イングランドといった強豪国がずらり。続く第2ポットにも、ドイツやオランダという名前が並ぶ。

1次リーグから強豪国との対戦が続く可能性もあるが、指揮官は恐れていない。4年に1回の世界一を決める舞台には、簡単な試合など1つもない。ならば、名だたる国との対戦もウエルカム。例え“死の組”だったとしても、戦える喜びを感じながら勝利をつかみに行くつもりだ。

約30年前の「悲劇」を「歓喜」に変えるチャンスでもある。森保監督が現役選手だった93年。日本はこのドーハの地で、終了間際の失点であと1歩のところでW杯の切符を逃した。ピッチ上で味わった「ドーハの悲劇」。森保監督はかつて「ドーハの思い出は過去のことで、完全に個人的なこと」と話していたが、都市の名を聞けば思い出すファンも少なくないだろう。

今回のアジア最終予選を戦ったメンバーの中で、当時生まれていなかった選手も増えてきた。それでも、先人たちが悲劇を乗り越えたからこそ、7大会連続W杯出場という脈々と受け継がれてきたものがある。

ドーハの道路沿いにはW杯開催を祝う旗が並び、市内の至るところにW杯のロゴを見ることができる。日本にとって悲劇の記憶が残る街はもう、世界最高峰の戦いを繰り広げる準備ができている。ベスト8進出を目標に掲げる今回。日の丸を背負った2022年の代表戦士とともに、30年越しの歓喜の瞬間を目指す。

◆抽選方式と大会方式 3月31日付のFIFAランキングに基づき、本大会に出場する32チームを8チームずつ4段階に格付けして上位から第1~4ポットに分ける。第1ポットは開催国のカタールに、ブラジルを筆頭にランキング最上位の7チームが入る。6月のプレーオフで出場が決まる3チームは第4ポットへ。同じポット同士のチームは1次リーグでは対戦しない。抽選は第1ポットから順に行われ、各ポットから1チームを1次リーグA-Hの8組に振り分ける。同じ大陸連盟のチームは同じ組とならないが、13チームが出場する欧州のみ同組に最大2チームが入る。 決勝トーナメント(T)は各組上位2チームが進出。1次リーグの順位決定は(1)総勝ち点(2)全体の得失点差(3)総得点。仮に2チーム以上が並んだ場合は(4)当該チーム間の勝ち点(5)同得失点差(6)同総得点(7)フェアプレーポイント数の順で決める。また、決勝T1回戦の組み合わせは、A組とB組、C組とD組、E組とF組、G組とH組の各1位チームと2位チームが対戦する従来通りの形式になる。