浦和DF槙野智章(28)が、新加入のMF駒井に“武藤ロード第2章”を準備した。

 28日夜にツイッターで「明日の肉をもたらす」と発信。「明日は29日、肉の日なので、駒井ヨシアキが得点した際には、肉をごちそうすると約束している」とつづった。

 「チームの貴重な戦力として期待するからこそ、髪形に続き、大ブレークの武藤にならわせたい」と槙野。2月の合宿では、MF武藤が昨季のブレーク当初に槙野の横分けヘアをまねていたことにちなみ、駒井を同様の“アゲ髪”にカットした。そして今回は、武藤のサクセスストーリーを語る上では欠かせない「すしエピソード」にならった。

 仙台在籍当時の14年、武藤は同僚のGKブコビッチから、得点祝いにパックのすしを贈られた。この時、ブコビッチはツイッター上で、武藤との日本語のやりとりにチャレンジ。しかし自動翻訳サイトを使ったため「明日すしをごちそうする」と言いたいところが「明日のすしをもたらす」という謎のフレーズになってしまった。

 しかし、これがかえって話題を呼んだ。以来、仙台サポーターは武藤の得点をすしで祝うようになった。武藤がゴールを挙げるたび、ネット上では「武藤がオレたちにすしをもたらした」と大盛り上がり。武藤の人気は一気に高まった。期待されながらも伸び悩んでいた武藤だったが、温かい声援に背中をおされるように、結果を残し始めた。

 それが15年の浦和移籍にもつながった。浦和のサポーターは、ゲンのいい「祝いずし」を継承。さいたま市内のスーパーのパックずしが売り切れ、回転ずし店に長蛇の列ができるまでになった。武藤本人も大ブレーク。昨季は浦和を第1ステージ優勝に導き、日本代表入りまで果たした。

 槙野は今季も、武藤のような新戦力のブレークが必要だと感じている。この日の練習後には「複数のタイトルを狙うなら、連戦は避けられません。新しい戦力がどれだけ活躍できるか。1年を通してチームが強くあるには、そこは絶対に必要になります」と話していた。

 浦和は今季、すでにACL1次リーグを突破。広大なアジアをまたにかけ、国内リーグと掛け持ちするハードな連戦が今後も続く。その関係で、J1第1ステージ終盤には5連戦が組み込まれるなど、日程も厳しい。ペトロビッチ監督もこの日の名古屋戦前日会見で「最近の練習では、出場機会が少ない選手のパフォーマンスも素晴らしい」と、連戦の中での新戦力登用の可能性を示唆する。

 途中交代で好プレーをみせる駒井だが、連戦の中でさらなるチャンスを得るためにも、あらかじめ結果を出しておくに越したことはない。だからこそ、槙野は「明日の肉をもたらす」とつぶやき、駒井の活躍を願っている。

 名古屋戦が行われる埼玉スタジアムでは、29日に合わせ「肉の日」イベントを開催。元GMの森孝慈さんが生前にこよなく愛した肉丼「URAWA親父丼」など、周辺は肉料理一色になる。駒井が得点した際には、サポーターもすぐに「祝い肉」が可能だ。

 今の浦和は、肉食獣を思わせる激しいプレスで、とにかく多くのチャンスをつくる。駒井がそれを生かし、移籍後初ゴールを挙げることで、肉祭りを準備する槙野ら周囲の期待に応える。