湘南ベルマーレの曹貴裁監督(48)は、最終戦のセレモニーで「今年のチームは、本当に強いチームではなかった。

 ただ彼らは、本当に常に前向き。チームの批判をしたり、自分が良ければいいやという選手は1人も、1回もなかったと思います。選手たちに教えてもらったことは多かった」と、目に涙を浮かべながら選手をたたえた。

 一方で、J2降格が決まった16年10月22日の大宮アルディージャ戦について触れ「J1という場所がどういう場所か、他のチーム以上に分かっているつもり。サッカーに対する気持ちや、人を思いやる気持ちが大事だと常々、言っていますけれど、それだけでは勝てない、厳しいリーグ」とも言い、1年で復帰したJ1の舞台が、簡単ではないとも口にした。

 曹監督は会見後、セレモニーで語った真意について、次のように語った。

 (1)「本当に強いチームではなかった」 選手も思っているし、俺も思っていること。ネガティブなキーワードじゃなくて(J2最多の勝ち点101を挙げて史上最速の昇格を決めた)14年を見ている人から、周りを圧倒して勝たなきゃいけないと、折りに付けて、直接的にも、間接的にも(言われることで)選手はプレッシャーを感じていたと思う。全部の局面で相手を上回ろうとやりましたが、結果的に上回れない試合もありましたし、全て上回れるほど力がなかった。同時に力を付けた証拠でもある。100%、結果や内容に向き合って次の歩みを止めなかったことでは、僕は彼らにありがとうと、お疲れさまと言いたい。

 (2)「J1は厳しいリーグ」 今年、頑張っている選手に、さらに上塗りするように辛辣(しんらつ)なコメントを言い、成長を促すようなマネジメントをした。10個あったら、10個、直す必要はないと思う。ただ10個あるうちの3、4、5なのか1、2なのか…意識もそうですけど、コンビ、質含めて、バリエーションは当然、必要になってくる。今日で言えば、相手の足が止まったあの時間に、カウンターで仕留められない。仕留められるか、られないかのところを、一生懸命やっていることだけで片づけず、ゴールマウスに持っていくのが、うちの最大の目標。全員で共有してやっていくことは必要。

 今季、印象に残ったことについて聞かれると「初めて監督になった12年に比べて、BMWスタジアムの雰囲気は、やっている選手たち、見ている観客の温度が一緒というシーンが多かった。今年はサッカー文化は間違いなくこの街に根付いた気がした」と語った。

 その上で「僕はドイツのサッカーがすごく好き。あの街にこのクラブがある。緑色で、こういう選手がいると街の人が誇りに思い、スタジアムに来て、ダメならブーイングする(という感じができ)この街を取り巻く文化は5~10年で上がった。目指すなら一番上…そういうところと向き合って行かなきゃと強く感じたのは今年が1番です」と断言。近年の湘南の躍進で、平塚をはじめ、ホームタウンのサッカー文化は確実に高まったと力説した。【村上幸将】