サッカー元日本代表監督の岡田武史氏(66=日本協会副会長)が、夢を形にした。

会長を務めるJ3今治の新本拠「今治里山スタジアム(里山S)」が愛媛・今治市内に完成し、オープニングセレモニーが29日に行われた。総工費は約40億円で、収容数は5316人からJ1基準を満たす1万5000人まで増設可能。クラブ経営に乗り出した約8年前の宣言を達成し、新スタジアム元年の今季こそ悲願のJ2昇格を果たす。

エキシビションマッチでは元日本代表の教え子たちと交流した。里山Sの初興行として「チーム里山」と今治U-18、同レディースと対戦。岡田会長の人脈を物語る豪華メンバーが盛り上げた。

ラモス瑠偉監督に、元FIFAワールドカップ(W杯)日本代表の松井大輔や、大久保嘉人、内田篤人、玉田圭司の各氏が出場。岡田氏が率いた10年W杯南アフリカ大会で日本の海外初ベスト16に貢献した駒野友一氏のクロスに、松井がオーバーヘッドで合わせるなど沸かせた。あのPKを外した駒野氏の肩を、涙で抱えた松井との、試合前から狙っていたプレーだった。

試合後、内田氏は「素晴らしいスタジアム。それをサッカー以外で活用しようという考えが岡田さんらしい。応援する皆さんと一緒に作り上げていってもらえたら」と称賛し、このFC今治を最後に昨季限りで現役引退した駒野友一氏は「この新スタジアムにふさわしいJ2、J1の舞台に昇格してもらいたい」と期待した。

式典には元代表監督の西野朗氏、Jリーグ野々村芳和チェアマン、W杯カタール大会まで日本代表のシェフを務めた西芳照氏、EXILEのTETSUYA、白濱亜嵐、お笑いトリオのパンサー尾形貴弘ら吉本興業の芸人勢、行政関係では愛媛県の中村時広知事、今治市の徳永繁樹市長らが詰めかけて祝福した。【木下淳】