風間八宏監督(62)率いる南葛SCが、FW大前元紀(34)の1得点1アシストで東京ユナイテッドを2-0で下し、今季初勝利を挙げた。

開幕戦のジョイフル本田つくばFC戦は、押し込む時間帯が長かったが、無得点で敗戦。だが、この日は引いて守る相手をこじ開け2得点と結果を残した。前半32分、敵陣深く押し込み細かいパスをつなぎ、最後は大前が右からのクロスをゴール中央で頭で押し込んだ。後半25分には、大前の左コーナーキックのクロスから追加点。理想的な形で快勝した。

風間監督の下、日々の練習から狭いエリアのミニゲームを重ね、判断と技術の質を磨いている。相手がゴール前を固めてスペースがない中でも、臆することなくゴールへ向かい、得点につなげた。

大前は「ゴール前に進入することはできている。これがもっと得点につながれば、自信になって良くなっていくんじゃないかな」と手応えを口にする。その一方で「まだまだミスが多いし。変な取られ方でカウンターを食らうシーンも多かったし。風間さんのサッカーは点を取って勝つことを求めているので。2点でも少ないぐらい」とチームの伸びしろに期待を寄せた。

今季、他クラブからのオファーがある中でも「風間監督の下でやってみたい」と残留を決めた。指揮官の「止める・蹴る・外す・運ぶ」を学び「僕個人は、風間さんと会う前は、基本的に1タッチ、2タッチでやることが多かった。運ぶことを常にやってきた選手ではないですけど、風間さんに会って、その選択肢が増えて、より意識が強くなった」。この日も、カウンターの場面で大前がドリブルで持ち上がり、ラストパスを供給する場面もあり、34歳にして、プレーの引き出しを増やしている。

チームとしても、ボールも人も動き、イレブンが楽しそうにプレーしているように見えた。大前は「風間さんが、楽しんでやる、というのを常に言っているので。それを体現できれば見てる人も楽しめる。キャプテン翼が軸にあるチームで、見て楽しい、やってて楽しいのが一番。もっと点を取れるシーン、シュートのシーンがあっていい」。各選手が技術と向き合うことで、南葛のサッカーは、まだまだおもしろくなる。【岩田千代巳】