視覚障がい者による「ブラインドサッカー」の国際大会が、大阪の中心地である梅田のど真ん中で行われている。
ブラインドサッカーは、視覚障がいを持つ4人のフィールドプレーヤー(FP)と、晴眼者もしくは弱視者がGKで行われる5人制サッカー。FPはアイマスクを装着し、転がると出るボールからの音と、相手チームのゴール裏に陣取る「ガイド(コーラー)」の声を頼りにプレーを行う。両サイドライン上には高さ1メートルのフェンスが並び、ボールがはね返ってもそのままプレーが継続される。
今回は「ダイセル・ブラインドサッカーウイークinうめきた」として開催されており、男子は日本、アルゼンチン、タイ、コロンビア、女子は日本、イングランド、アルゼンチン、オーストラリアのそれぞれ4カ国の代表チームが出場。開幕日の18日から21日まで総当たりのリーグ戦が行われ、22~23日に準決勝、24日に女子の決勝と3位決定戦、25日に男子決勝と3位決定戦が行われる。
大会3日目の20日午後3時30分から行われたオーストラリア女子対日本女子の試合では「お静かに。シー」という会場アナウンスとともにキックオフ。足に吸い付くようなドリブルや、激しいぶつかり合いが繰り広げられ、試合の合間には観戦した人々から「え、思ってたよりすごいんやけど」、「この選手たち、ほんまに見えてないの?」、「見えてる俺よりうまい…」、「パンフレットに書いてるとおり、ほんまに超人やん」といった驚嘆の声がもれ、両軍の好プレーには拍手が送られた。
驚きなのは、開催されている場所だ。会場が設置されているのは、西日本最大のターミナル駅である大阪・梅田にある複合施設「グランフロント大阪」のうめきた広場。会場すぐ横にあるJR大阪駅からグランフロントにつながる通路は、1日約15万人が往来するとされ、通勤や買い物、観光で通りがかる多くの人が目にする環境下で行われている。
この場所での国際大会実施は、昨年7月に続いて2度目。日本ブラインドサッカー協会の松崎英吾専務理事(45)によると、ここでの開催は、グランフロントに本社があるスポンサーの協力もあって実現したものだという。しかし一大プロジェクトには費用面はもちろん、エリアをイベントスペース内に収めるための調整などクリアすべき課題は多かった。安全面での対策も重要で「スポーツ施設ではないので、見に来るつもりではない人がほとんど。その人たちにボールが当たってはいけないし、安全上の制約は非常に多い」と苦労を語った。
それでもこれ以上ないほどの好立地での開催には、大きなメリットがある。「数人で歩いている方が少し立ち止まってブラインドサッカーを話のネタにしてくれることがあるし、月曜の通勤時に初めて会場を見た方が『金曜の夜に行ってみようかな』となってくれるかもしれない。最初の接点はそういうものだと思っているので、その意味ではすごくいい場所でやらせてもらっていると思います」。偶然通りがかったとみられる女性2人組が時間を忘れるほど試合にのめり込み、その後に慌てて移動する姿からは、この場所で開催される意義が感じられた。
普段にはない環境でのプレーは、選手にとっても刺激となっている。声援を間近に感じたというFP若杉遥(29)は「見て、応援していただける中で、女子のブラインドサッカーを伝えられて、多くの人に知ってもらえるのはうれしい」と歓迎。実現までの苦労は多大なものだったが、各方面に良い影響をもたらすイベントとなっている。
大会は週末の25日まで開催され、これまで関わりがなかった多くの人がブラインドサッカーに触れる場となりそうだ。【永田淳】



