経営不振に陥っている日産自動車が3日、株式売却検討が表面化していたサッカーJ1の名門クラブ横浜F・マリノスについて「日産は横浜F・マリノスの筆頭株主であり続けます」と声明を出した。騒動後、公式ホームページなどで正式な書面コメントを出すのは初めて。日産は、マリノス運営会社の親会社で、株式の約75%を保有している。
続けて「私たちは横浜F・マリノスの成長を支え、財務的な持続可能性を高めるため、長期的な戦略の一環として、株主構成の強化について積極的に検討しています」と明記。株式の大半を手放して第2位以下の株主となることを否定し、一部の売却にとどめることを示唆した。
関係者によると、日産はIT大手など少なくとも3社以上と接触。関係の強い銀行など主要な金融機関を通じて売却を打診し、横浜市に本社を置く家電量販店ノジマが候補先として明らかになっていた。
その中で、突如として出たプレスリリースには「断言」と明確な「約束」が記されていた。
「横浜F・マリノスは日産の伝統と価値観、地元を大切にする姿勢の象徴であり、私たちは今後もチームの目標達成や将来の発展を支援し続けます」
「今後も日産は、地元である神奈川県、横浜市に対して、引き続き貢献していきます」
「私たちは事業の安定性を確保し、強固な基盤を構築することで、従業員やパートナーを支援し、地域社会に貢献していきます」
日産は先月29日、日刊スポーツの取材に「弊社が発表した案件ではなく、臆測に基づく報道にはコメントしない」と回答したが、株式売却は避けられない情勢だった。25年3月期の決算が6708億円の赤字に転落し、国内外7工場と2万人の削減計画を発表。クラブ運営からの撤退を視野に入れ、今後は買収条件などを見極めた上で、年内にも候補を絞り込む方針とされていた。
その中で、クラブ運営会社の中山昭宏社長も30日、横浜市内で本紙などの取材に応じ「マリノスとして何かオフィシャルに言えるものがないことが大前提」と前置きした上で「アイデンティティーだったり、クラブのブランドだったり、うちのクラブのフィロソフィーもそうですけど、ああいうものは守っていく。そこは1つ、お伝えしたいこと」と回答していた。
横浜は72年に創部した日産のサッカー部が前身。93年Jリーグ元年の「オリジナル10」として日本代表選手を多く輩出し、リーグ優勝も5度を誇った。一方、今季は開幕から低迷してJ1残留圏ギリギリの17位に沈んでいる。



