第95回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が、来年1月2、3日に開催される。東大・近藤秀一(4年=韮山)は昨年、関東学生連合の1区にエントリーされながら、大会直前のインフルエンザ発症で欠場した。大学最後の年となった今年は、10月の同予選会(東京・立川、21・0975キロ)で1時間3分44秒の47位で再び出場権を得た。悲願の初出場を目前にした近藤に聞いた。

雨が降る東京・目黒区の東大駒場キャンパス陸上グラウンドで、近藤は黙々と練習を行っていた。陸上部の他選手が1キロ5本のインターバル練習を行う中、近藤は1人だけ1・2キロと距離を延ばし、1キロあたり2分55秒のペースで走り続けた。約1時間の練習を終えると、「今日はハーフマラソンより速いペースで走りました。このペースを体に覚えさせていきたい」と充実した表情で話した。

1、2年時は登録メンバー16人入りも補欠。前回大会は直前で病気欠場と、近藤にとって箱根は近くて遠い。それでも「東大から箱根に出て、弱小校で走る選手たちに希望を与えたかった」と貪欲に次のチャンスを目指した。今年8月に練習で左膝を痛め、練習再開が予選会の3週間前となっても「良い状態で出るのが難しいのなら、それに合わせた走りをしよう」と開き直り、「4度目の箱根」を手繰り寄せた。

東京では1人暮らしをしている。食事などの自己管理については「あまり気にしていない」と、好きな物を気兼ねなく食べているという。「何事も100点は難しいし、ストレスもたまる。他でカバーしながら、トータルで良い結果を出せればいいと考えています」。勉強やアルバイトで多忙な中、週3日の部活動のほかに自宅周辺や大学周辺を走るなど、工夫して練習時間を作っている。

長く目標としていた大舞台が刻一刻と近づいてきた。韮山の後輩たちが全国高校駅伝出場を決めたことに「刺激を受けています」。恩師で同校の川口雅司監督(57)とは現在でも連絡を取り合い、アドバイスも受ける。近藤は「今度の箱根は自分の集大成として、100%の力を出せると思う。自分の成長した姿を地元の人たちに見てもらいたいです」と、胸を張って話した。【河合萌彦】

◆近藤秀一(こんどう・しゅういち)1995年(平7)7月27日、静岡県函南町生まれ。函南小3年で陸上を始める。函南中、韮山では全国に届かず。15年に東大に入学。昨年まで3年連続で関東学生連合に選出されるが出走なし。今季の1万メートルは29分41秒02。173センチ、53キロ。血液型AB。

◆関東学生連合チーム 2003年の79回大会からオープン参加で出場。シード権を持つ10校と予選会通過10校の計20校以外から、予選会の個人記録上位者を軸に16人が選出される(本戦出場者は10人)。選抜は1校につき1人のため、記録上位でも校内2位であれば選ばれない。個人記録は有効も順位はつかず、チーム、個人ともに参考記録となる。選出要件は93回大会まで「本大会出場回数が2回を超えないこと」だったが、94回大会から「本戦出場回数がゼロであること」に変わった。以前の要件であれば2度以上登録された経験を持つ近藤は選出されなかったが、今年の予選会未通過の選手内で上位3位に入ったことで4度目の選出となった。