箱根駅伝で「シン・山の神」となった青学大の黒田朝日(4年)が、2度目のマラソンで2時間7分3秒で日本人2位の全体3位に食い込んだ。
日本人トップ2位の吉田祐也(28=GMOインターネットグループ)に4秒遅れも、来秋開催の28年ロサンゼルス五輪の代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権を獲得した。箱根駅伝後で本調子ではない中で抜群の安定感を見せた。優勝はゲタチョウ・マスレシャ(25=エチオピア)で2時間6分49秒だった。
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レースで時計をつけない黒田が、独自のペース感覚を武器に大分の地を走り抜いた。33キロ地点、海外招待選手のマスレシャが飛び出した。しかし、黒田は日本人先頭をけん引する吉田の背中を追った。「今の状態で箱根を10としたら今日は5、6割」。現状を的確に把握し、体内時計に最適のラップを刻んでトップ3の座をつかんだ。
1月31日の前日会見では「コンディション不良」を告白。箱根駅伝の山登り5区での伝説的な区間新記録の反動が出た。だが最大の強みはレースで外さない安定感だ。原晋監督からの「6割の力を6割出す」との指示を確実に実行した。
初マラソンだった昨年2月の大阪マラソンで青学大の先輩でもある若林宏樹の日本人学生記録を2秒更新。だが今回は「正直、大阪の方が走りやすかった。箱根駅伝が終わって1カ月じゃ、間に合わなかった」と漏らす。
学生のうちにマラソンを複数回経験するケースは少なく、安定して成績を残すことは難しい。24年2月の大阪マラソンで初マラソン日本記録を当時保持していた国学院大の平林清澄(現ロジスティード)は2度目となった同8月の北海道マラソンで70位に沈んだ。1度好記録を出すことで2回目以降は逆にペース作りが難しくなり、成績が伸び悩む傾向がある。
それでも黒田はこの日、不調でも自己ベストから58秒差でまとめた。「記録を狙うのではなく、通過点。ステップにして次につなげる」。ロス五輪代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」参加条件の2時間9分0秒切りと、日本人6番以内に入るためのレース運びを表現した。
卒業後は吉田らOBが多数いるGMOに加入する。今後は青学大を拠点に活動し、ベルリンマラソンでは大迫傑が持つ日本記録の更新を目指す21歳。「世界で戦えるランナーになりたい」。男子長距離界の朝日となる。【泉光太郎】

