女子SPは宮原知子(19=関大)が74・61点で3位で、今日9日のフリーに向かう。

 「ミス・パーフェクト」が帰ってきた。宮原は、3回転ルッツ-3回転トーループの難技を含む3つのジャンプを今季初めてそろえた。柔らかなスピン、太鼓、おはやしの音に合わせた小気味よいステップは全く乱れる気配がない。すべての要素を滑らかにつなぎ、自己ベストにあと0・03点と迫る会心の演技を披露した。昨季の全日本選手権を最後に左股関節疲労骨折で実戦を離れてから、間もなく1年。11月のNHK杯で復帰してからわずか3戦目で「(滑りの)一押しが、ぐっと滑れるようになっている」と、完全復活の手応えをつかんだ。

 初の五輪を目指す今季のSPには、芸者が主役のハリウッド映画「SAYURI」の曲を選んだ。淡いピンクが裾にかけて濃さを増す衣装は、桜吹雪をイメージし、自らデザイン。リハビリのため、振り付けは7月とずれ込んだが、11月末のスケートアメリカで優勝後、目線をどこに配るかなどさらに細かな手直しを加え、この大会に臨んだ。4日に帰国し、ドタバタで迎えた大舞台だったが「自分の演技にも、点数にもうれしい気持ちでいっぱい」。苦しい思いを乗り越え、「最後に晴れやかな場所に到達できる」というストーリーに、自分の歩んだ軌跡が重なってきた。

 日本女子で過去、五輪シーズンのGPファイナルで最上位となった選手はすべて五輪に出場している。(05-06年シーズンの浅田は年齢制限のため、後に五輪出場)。五輪に向けて、「とにかくその時自分のできることをしっかりやるのが大事」と緩めない。五輪確率100%の吉兆をつかむためにも、勝負のフリーに挑む。【高場泉穂】