昨年の全日本ノービス選手権A3位の中井亜美(13=MFアカデミー)が、大技トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に果敢に挑んだ。回転が抜けて1回転半と判定されたが「次までに必ず決めたい」と3週間後の東日本選手権(29~31日、東伏見)での成功へ意欲を見せた。

今季ジュニア1年目。その公式戦初戦は納得の2位だった。前日のショートプログラム(SP)は60・17点で首位発進。同スコアで並んだ住吉りをん(18=東京・駒場学園高)を技術点の差(中井36・49点、住吉34・15点)で上回った。

この日は1本目に3回転半にチャレンジ。しっかり踏み切ったが、空中で回転がほどけ、2回転半の重度の回転不足=1回転半とされた。しかし、その後は切り替え、細かい技術的なミスはあったとはいえ、ルッツ-トーループの2連続3回転や3回転フリップからの3連続など、残る6回のジャンプは全て着氷した。フリー105・91点の合計166・08点で、同176・57点の住吉に次ぐ2位となった。

「トリプルアクセルは6分間(直前練習)の時に、すごい回って。クオーター(4分の1回転不足)くらいで跳べた」と手応えもあったが、本番では再現できなかったことを受け「次の東日本まで3週間くらいある。そこでは絶対に降りたい」と闘志を燃やした。

小学校4年の18年に全日本ノービス選手権Bで優勝するなど、新潟の星として注目されてきた。中学生になった今春、その新潟・アイビスSCを離れて千葉・南船橋のMFアカデミーへ移籍。得意のジャンプだけでなく、これまでライバルに及ばないことが多かった表現力にも磨きをかけるため、母親と引っ越した。

そのため、これまでは北海道・東北選手権に出てきたが、今回から東京選手権に変わった。「東北は慣れていて楽だったけど、東京だと環境だったりリンクが違うので」とまだ違和感はあるが、それ以上にレベルの高さが自身を引き上げてくれる。「りをんちゃんとSPの得点が一緒になってビックリしたところもあったんですけど、最終滑走では自分に集中することが大切だなと。前の番だったりをんちゃんが、すごい上手で。さらに集中できました」と高ぶる一戦となった。

現在は4回転ジャンプの練習にも取り組んでいる。まずはトーループから始めたが「あまり合わなかった」。ところが「ハーネス(補助器具)を使って試していた4回転ルッツが感覚がつかみやすかった。これならやれるんじゃないかな」と、現在成功例があるジャンプの中でも最も難易度が高いルッツ習得に可能性を見いだしたという。

「アクセルは、昔から浅田真央さんを目標に。4回転はロシアのトルソワ選手を参考にしています。アクセルは東日本だけでなく、どの試合でも降りられるように。4回転は全日本ジュニア(11月)までに入れられたら」と無邪気な笑顔で大きな目標を打ち立てた。【木下淳】