コート上の“監督”が笑顔で仲間を支えた。Vリーグ2部(V2)アランマーレ山形は、東女体大を2-1で下し2回戦進出を決めた。セッター投野ひかる(25)が司令塔としてプレーと姿勢でチームをけん引し「初出場初勝利」に貢献した。今日11日は、V1久光と対戦し金星を狙う。

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闘志むき出しの相手をフルセットの末、振り切った。第1セット(S)を先取。第2Sはパワフルな攻撃に苦しみ、試合を振り出しに戻されたが、第3Sは徐々に攻守の歯車がかみ合い、原田栞里(23)らのスパイクで得点を重ねていった。最後は相手のミスで得点を奪い、初戦突破を果たした。北原勉監督(41)は「3セットマッチは勢いに乗った方が勝つ。選手たちが修正を加えながら勢いを弱めず戦ってくれた」とねぎらった。

投野がコートに光を与えた。「(試合中は)気が抜けない状態がずっと続いていたので“表情”のメリハリを強く意識した時間がありました」。プレー中は真剣。だが得点をマークした時には、ある意味オーバーなほどに笑顔をはじけさせて喜びを表現。チームに良いムードをもたらした。北原監督は「セッターはコート上の監督。いろいろな話をして大事なところで相手の弱みを突くバレーをしてくれた」と評価した。

今もあの日の一言を胸に刻んでいる。6月のサマーリーグ、V1勢の埼玉上尾、KUROBEにストレート負け。その時に北原監督からかけられた「笑顔で」が最も印象に残った。それ以来、「(私は)考えすぎると真剣になりがち。笑顔でプレーすることは雰囲気や目に見えないところにつながる」と肝に銘じ、心は熱く頭は冷静にチームのことを考えてきた。あの日以来となるV1勢と、今日11日に対戦する。笑顔を心がける司令塔が、「笑顔で」チームを勝利に導く。【相沢孔志】