チャンピオンシップ(CS)に向けて、宇都宮に頼もしい男が帰ってきた。左手第5中手骨骨折のため戦列離脱していた高島紳司が、3月31日の三河戦以来の出場。16分51秒プレーし、5本の3ポイント(P)シュートを決めるなど、チーム最多の15得点をマークする活躍をみせた。

「今節からの復帰を目標にしていました。1、2回しか全体練習に参加できていなかったのですが、オフェンスでは前が空いたら打つことができたし、ディフェンスでもチームとしての狙いを遂行できました」

練習中に骨折し、10試合欠場。ゲーム勘が心配されたが、6リバウンド、3スティールも記録したところをみると、全く心配なさそうだ。

レギュラーシーズン佳境での離脱は、本人にとっては不本意だっただろう。一方で、自分のプレーを見つめ直すいい機会にもなった。佐々宜央(さっさ・のりお)ヘッドコーチが言う。

「ケガをする前から少し壁にぶつかっていた。いろいろやりすぎようとしていた。ケガの功名ではないが、1歩引いたところから試合を見て、ニュートラルなマインドになったのでは。守備をして、リバウンドを取って、オープンになったら打つ。シンプルなことを極めていけば、代表選手にもなれる」

高島の激しく、しつこいディフェンスはチームの士気を高める力もある。来週から始まるCSに向けて、高島の戦列復帰はこれ以上にない朗報だ。

「まだ100%(の回復)ではないから注意は必要」と佐々ヘッドコーチ。ただ、ファンの間で「たのもしんじ」と呼ばれる男は、前しか向いていない。

「今日もまだまだミスがあった。次は修正して臨みたい。僕に消化試合はありません」

1カ月以上試合に出られなかったうっぷんを、これからたっぷり晴らす。【沢田啓太郎】