日本相撲協会は27日、東京・両国国技館で鳴戸親方(59=元横綱隆の里)と幕内隆の山(28)から、週刊新潮で報じられた記事内容について事情を聴いた。この日の聴取で結論は出さず、継続して調査することになった。

 記事の内容は、鳴戸親方が角材を用いて弟子の指導をし、自らの治療のために用いているインスリン注射を、隆の山を太らせるために打たせているというもの。放駒理事長(元大関魁傑)と出羽海事業部長(元関脇鷲羽山)が、鳴戸親方と隆の山を約30分ずつ、事実関係を確認した。

 鳴戸親方は無言で帰宅した一方、放駒理事長は「これからもう少し、こちらで調査する」とした。当事者が記事内容について「肯定したのか、否定したのか」という問いには「否定も…、そこまで言えないですよ。事実と違ったことを答えていた可能性もある」と慎重に答えた。

 協会側は、かねて否定していた八百長問題が、のちに事実と認めざるを得なくなった過去を反省し、今回は早急な結論を避けた。報道を事前に知り、前日26日に文科省を訪問した際は、中川大臣に報告。放駒理事長によると「きちっとやりなさい。こういうことが重なると、国民から信用されなくなる」と指摘されたという。協会は調査を継続し、九州場所中日の11月20日に予定される理事会で、この問題について検討される。

 ◆週刊新潮の報道

 元力士が、鳴戸部屋の事情を証言。弟子がつくったちゃんこ鍋の味を、鳴戸親方が必ず味見し、気に入らないと怒り出す。「精神注入棒」と書かれた角材で頭をたたくこともあり、序二段輝の里は頭が割れた。幕内若の里は頭をスコップでたたかれ、5針縫った。指導が厳しく、辞めた力士は5年間で20人以上。糖尿病の鳴戸親方がインスリンを入手し、隆の山を自室に呼んで、注射を打たせていた。インスリン注射は血糖値を下げ、食欲を増進させる効果があるものの、医師法などに抵触する可能性がある。