羽賀龍之介(25=旭化成)がアルチョム・ブロシェンコ(31=ウクライナ)に寝技で一本勝ちし、銅メダルを獲得した。この階級では00年シドニー五輪の井上康生(現日本代表監督)以来のメダル獲得となった。日本男子はこの日までに行われた6階級すべてでメダルを獲得している。

 序盤は組み手争いになり、開始52秒で両者に指導が出た。その後は内股で攻め続け、1分59秒で相手に消極的姿勢で指導が出てリードした。3分すぎには大内刈りの連続で相手を倒し、そのまま寝技に。足で相手の上半身をがっちりとらえ、右腕もつかまえての三角絞めに相手がたまらず参ったの意思を示した。

 試合後、鈴木桂治コーチに肩を抱かれてねぎらわれると、悔しさと安堵の入り交じった涙を流した。「目標が金メダルだけだったので、そのモチベーションがなくなって苦しかったんですけど、メダルがあるとないとでは違うので、取れて良かったです。こうやって気持ちを切り替えられたのも、メダルを取らなきゃという思いと、色々な人の応援に応えたいと思ったから」と振り返った。それでも表彰式後は「やっぱり金が欲しかったです。オリンピックはオリンピックだし、今日勝った人がチャンピオンなんで」と金メダルを逃したことに悔しさをにじませた。

 3月、練習中に右膝内側側副靱帯(じんたい)を損傷。代表最終選考の全日本選抜体重別選手権も欠場するなど、直前の大会で調整することができなかった。さらに昨年の世界選手権制覇で切れ味を見せた内股は研究され、決めきることができなかった。「内股は分かられていてしんどかったんですけど、どんな形でも勝とうと思っていたので、寝技でしたが勝てて良かったです。」と、厳しい戦いの中でも結果を出すことができた。

 まだ25歳。4年後の東京五輪にリベンジのチャンスが残る。「色は違いますけど、この銅メダルの経験を生かして、また、みなさんに応援してもらえるよう頑張りたいです。(相手の内股対策は)やる前から予想できたことなんで、もっともっと強くなって帰ってきたいです」。今回達成できなかった目標を再び掲げ、前を向いた。