出産を機にシックスセンスが覚醒。女子ボートレーサーの魅力に迫る「ビューティフル・ボートレース」。今回は公営競技のエリート一家で育った土屋千明(35=群馬)を紹介する。父は元オートレーサーの土屋栄三(故人)、弟は同じボートレーサーの土屋智則、夫は現役オートレーサーの森村亮と、プロレーサーに囲まれた抜群の環境で日々レベルアップする彼女の素顔に注目した。

子育てに励みながら進化を続ける土屋千明
子育てに励みながら進化を続ける土屋千明

 -ボートレーサーになろうと思ったきっかけ

 土屋 その当時はオート界に女子選手がいなかったし、父に連れられてボート場には何回も来てました。それに子供の頃は他の職業を知らなかったのもありますね。でも一番は、いろんな経験をしている父を見て、私もお父さんみたいになりたいって思ったから。仕事だけじゃなくて、旅行とか生活面でも経験値がすごく高くなるだろうな、と。今は自分も実践できてると思う。わたし経験値けっこう高いんですよ(笑い)。

 -姉弟関係について

 土屋 養成所時代はすごく厳しいって父に教えられてきたので、それは覚悟の上でした。減量というより、増量が大変だったくらいですかね。意識が変わったのは弟(土屋智則)がデビューしてからです。智則は最初からうまかったし、一緒になって頑張らなきゃと思いはじめました。

 -そこから結婚、出産を経て心境に変化

 土屋 産休明けに、けがだけは絶対しちゃいけないって考えになりました。若い頃は、がむしゃらだったけど、今は「落ち着いてレースできるようになったね」って周りにも言われます。それに1人目を産んでからスタートが早くなったんですよ。空中線が写真で撮ったようにパシャ、パシャって脳に焼き付くような感覚がある。2人目を産んだら、ボートに乗ってるときのひらめき、感覚が研ぎ澄まされるようになりました。不思議なんですけどね。

 -いずれは3世代レーサーも

 土屋 子供がなりたいと言ったら応援しますが、なれとは言わないです。ただ、自分でできることは全部教えてあげたい。

香川素子(中央)平高奈菜(右)とインドネシアのボロブドゥール遺跡を観光
香川素子(中央)平高奈菜(右)とインドネシアのボロブドゥール遺跡を観光
家族旅行でユニバーサルスタジオジャパンを満喫
家族旅行でユニバーサルスタジオジャパンを満喫

 -オフの過ごし方は

 土屋 ダイビングとか旅行ですね。女子選手同士でも行きますよ。香川素子さんや平高奈菜ちゃんともインドネシアに行きました。昔は1人で海外に行ったりもしてましたけど、子供ができてからは家族で国内旅行が多い。レースが終わって真っ先に会いたいのは子供だし、子供中心の生活になってます。旦那さんとはお金も完全に別なんです。レースの話も全然しない。

同県同期の4人で食事会。左から本人、今井裕梨、毒島誠、亀山雅幸
同県同期の4人で食事会。左から本人、今井裕梨、毒島誠、亀山雅幸

 -92期は仲がいいことでも有名ですが

 土屋 登録更新のときは同期会を必ずしてます。ぶす君(毒島誠)とは体幹トレーニングも一緒にやってます。彼はSGを優勝してもてんぐにならないし、全然変わらないですね。

産休明けから毒島誠と体幹トレーニングに通い、復帰への体力づくり
産休明けから毒島誠と体幹トレーニングに通い、復帰への体力づくり

 -最後にボートレースの魅力とは

 土屋 当たればお金が増えます(笑い)。でも競技として見るだけでも面白いと思いますよ。私としては野球をビール飲みながら見るとか、オリンピックを見る感じで、ボートレースを見て楽しんでほしいです。

※次回は2月13日更新予定

 ◆土屋千明(つちや・ちあき)1982年(昭57)6月29日、群馬県生まれ。群馬支部。92期生として03年5月の桐生でデビュー。弟はボートレーサーの土屋智則、同期には毒島誠、松村敏らがいる。156センチ、46キロ。血液型O。