【栗田文人・車券放浪記】

　◆１２Ｒ：決勝　脇本雄太が悲願を達成する。決勝メンバーが決まった数分後、検車場に衝撃が走った。関東勢は吉沢純平の後ろで武田豊樹と木暮安由が競るという。単騎の菅田壱道が「だから競輪は面白い。何かが起きれば自分にもチャンスが出てくるかもしれない」とニヤリとしたように、別線にとっては朗報といっていい。

　最も恩恵を受けるのが脇本だ。当面の相手は吉沢と原田研太朗だが、原田は２車の上に脚質的に別線の動き次第。その点、脇本は後位に三谷竜生－村上博幸が続く鉄壁ラインでレースを支配しやすい。

　関東勢の競りについては「深く考えない。有利になるかどうかはレースをしてみないと分からない。吉沢さんが（自分の）番手で粘ることもあるかもしれない。だから絶対に気は緩めない」。楽観はしていないが、悪い材料とは思っていない様子だ。

　仕上がりも申し分ない。ナショナルチーム中心の生活で競輪は日本選手権（ダービー）以来だったが、初日特選は今シリーズ上がり最速の１０秒７でまくり、準決１２Ｒも８番手からイエローラインの外をまくって快勝。ナショナルの最大の敵である疲労も、レースぶりから心配はない。「明日（決勝）に向けてももう少し調整していく」と、言葉には自信にあふれていた。

　逃げて３着に敗れたダービー決勝は「３０メートル仕掛けが早かった」と悔やんだ。そして決勝を前に「自分の踏める距離は分かっている」と力を込めた。今度こそ三谷にも差させず、Ｇ１を戴冠してみせる。３連単は３着に村上を入れ、（１）（３）から（７）（８）（９）（５）。